ここで何が言いたいかというと、運の良し悪しは、その個人に留まらないということである。とりわけ会社(組織)には「集団運」というものがあって、これが成長と発展の決め手になる。そんな「集団運」を育めば、個々人がおのずと自燃・自走する最強軍団が出来上がる。そうなれば、会社は大きな成長と発展を遂げることになる。

 この三十年を振り返ると、家電メーカーなどの日本を代表する企業は、かつての栄光と反比例するようにどんどん業績が落ちていった。それに対して、PPIHの業績は二倍、四倍、八倍……といわば倍々ゲームのように大きく膨らんでいった。これは当社の「集団運」が起こしたミラクルだと、私は自負している。

運は誰も言わない「巨大な真実」

 運は決して「宿命」ではない。気持ちの持ち方次第で、いくらでもコントロール可能なものだ。だが多くの人は、運そのものを正面から捉えたり、真面目に語るようなことはしない。単に、「運が良かった」、「運が悪かった」という話でオシマイにしてしまう。

 もちろん、災害に見舞われるなど、自分一人の力ではどうにもならない不運もある。「運は人智を超えたもの」という解釈に敢えて異論を挟むつもりはないが、だからと言って、「運は天に任せざるを得ない」という常識論法に与するつもりはない。私は「運任せ」という言葉が一番嫌いだ。運は自ら切り開いていくものだと考えている。

 運というのは、誰も言わない「巨大な真実」だ。私の人生を振り返ると、常に運という巨大な力に翻弄されながらも、何とかそれをコントロールしようと奮闘してきた。私なりに運を科学して、必勝パターンを分析し、「個運」と「集団運」を磨きに磨き上げてきた。だからこそ、今の私とPPIHの繁栄があるのだと断言できる。

 そうした意味で、私は自らを「運の生き証人」と自認している。独自の視点から運を語る資格を有する者と言えるのではないか。

本書は運に関するリアルな処世の書

2024.07.13(土)