この記事の連載
- 夏の和菓子 #1
- 夏の和菓子 #2
◆俵屋吉富の糖蜜ボンボン 金魚づくし
昔懐かしい昭和なお菓子「ボンボン」が若い世代を中心に再燃していますが、こちらは京菓子の老舗が手がけた金魚と金魚鉢の夏らしいボンボンです。一つ一つ手で描かれた金魚は、愛らしいだけではなく、和菓子職人の繊細な技を感じる小さな工芸品。
舌にのせたときの感触はちょっとひんやり。そっと噛めばシャリッと薄氷を割るような音を立て、砂糖菓子の中からとろりと甘い糖蜜があふれだします。小粒でもしっかり甘く、たちまち甘露な時間に満たされます。
俵屋吉富 本店
所在地 京都市上京区室町通上立売上ル
電話番号 075-432-2211(代)
営業時間 8:00~16:00
定休日 日・水曜
●烏丸線 今出川駅から徒歩5分
http://www.kyogashi.co.jp/
◆光國本店の萩乃薫(ハギノカオリ)
創業は幕末という山口・萩の老舗で、明治13年に夏みかんの皮を日本で初めてお菓子にしたお店です。「萩乃薫」は夏みかんの皮の細切りを糖蜜煮にした“和製ピール”といった感じ。
明治時代に考案された独自製法を今に伝えている贅沢な製法のため、甘さはしっかり。ジャリジャリ音がするほどたっぷりのグラニュー糖がまぶされていますが、その甘さの奥に皮のほろ苦さや、清涼感のある柑橘の風味がひそんでいて、余韻は爽やかな夏の香り。冷たい緑茶やアイスコーヒーなど、お茶うけにうれしい味わいです。
箱入りには、みかんの実(小房)の形をした琥珀かん「松陰の里」も入っていて、こちらは茶会などのお菓子にも使われているそうです。
光國本店
所在地 山口県萩市熊谷町41
電話番号 0838-22-0239
営業時間 9:00~17:00、日曜、祝日10:00~
定休日 不定休
●JR山陰本線 萩駅より車で10分
https://www.mitsukuni-honten.com/
2024.06.27(木)
文=嶺月香里
写真=平松市聖