この記事の連載
- 夏の和菓子 #1
- 夏の和菓子 #2
◆岬屋の水羊羹(こしあん)、水羊羹(つぶあん)
艶やかな「水羊羹」に包丁を入れるとみずみずしい蜜が滴り出し、食べる前からぐっと期待値が上がります。京菓子の流れをくむ岬屋では、こしあんのほか、水羊羹では珍しい粒あんも作っていますが、水羊羹好きであればどちらも購入して一緒に味わうのが正解。
こしあんの水羊羹を舌にのせれば、咀嚼する間もなくするりと溶け、ひんやり甘やかな小豆の風味が口いっぱいに広がります。切り口はピンと角が立っていますが、喉越しは飲みもののようになめらか。切ることのできるぎりぎりの柔らかさに仕立てているのかもしれません。
つぶあんの水羊羹は断面の小豆の粒も美しく、より小豆の存在感を増した食べ心地。するするとしたのど越しでありながら、小豆のコクや旨みをしっかりと感じられます。
とても珍しい白小豆の水羊羹もあり、こちらもこしあん、つぶあんが楽しめます。
岬屋
所在地 東京都渋谷区富ヶ谷2-17-7
電話番号 03-3467-8468
営業時間 10:00~16:00
定休日 日・月曜(※夏季休業あり。2024年は8月15日~9月1日)
●京王井の頭線 駒場東大駅より徒歩8分、小田急線 代々木八幡駅・千代田線 代々木公園駅より徒歩10分
◆一福百果・清光堂の愛媛の柑橘大福食べ比べセット
地元・愛媛の素材を生かした和菓子店。二代目店主の夫でもあるグアム生まれのビルさんが、菓子職人として来日して以来、新感覚の和菓子を発信するように。みかん1個を白餡ともちもちの求肥で包んだ「まるごとみかん大福」も、初代とビルさんの出会いから生まれたお菓子のひとつです。
初めて食べるならば、柑橘王国である愛媛産の3種のフルーツを使った食べ比べセットがおすすめ。ジュースのように果汁があふれ出す「まるごとみかん大福」に、ほろ苦さと酸み、甘みのバランスが絶妙な「じゅわっと島八朔大福」、しっかり甘くてジューシーな「じゅわっと甘夏大福」と、三者三様の違いが楽しめます。
夏は半解凍で、シャリシャリしたシャーベット状の柑橘を味わっても美味。
一福百果・清光堂
所在地 愛媛県今治市郷桜井3-4-5
電話番号 0898-48-0426
営業時間 10:00~18:00
定休日 日・月曜
●JR予備線 伊予桜井駅より徒歩9分
https://imabari-seikodo.com/
2024.06.27(木)
文=嶺月香里
写真=平松市聖