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ひんやり水羊羹や柑橘スイーツまで、夏に食べたいお菓子を厳選

 夏になると無性に食べたくなる水羊羹や麩まんじゅう。油を使わない伝統的な和菓子は、暑い夏でもするりと味わえる品のいい甘さが魅力です。今回は、もちっ、とろっ、じゅわっ~など、食感も楽しい夏におすすめの和スイーツをご紹介。喉がうるおう、しっとりなめらかな老舗の和菓子は、お世話になった方への贈りものにもおすすめです。

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◆菓子処 大口屋の餡麩三喜羅

 麩まんじゅうの最高峰という人も多い名古屋・尾張の銘菓がこちら「餡麩三喜羅(アンプサンキラ)」。三喜羅とは山帰来(サルトリイバラ)のことで、塩漬けにした山帰来の葉で麩まんじゅうを包んでいます。

 麩まんじゅうは、もちっとした歯ごたえがあるのに、ふわふわエアリーな歯切れで、口の中ですーっと溶けるような不思議なやわらかさ。なめらかなこし餡もサラリとした甘さで、餅菓子にはない軽やかな食べ心地が楽しめます。

 サルトリイバラの塩気と独特の香りも、麩まんじゅうの甘さを品よく引き立てる陰の立役者。夏限定で、瀬戸内レモンの果皮を白こし餡に練り込んだ「あんぷれもん(7月1日~7月下旬<予定>、1個216円)」も登場します。

菓子処 大口屋 布袋本店

所在地 愛知県江南市布袋町中67
電話番号 0587-56-3067/オンライン販売 0120-00-9781(9:00~17:00)
営業時間 8:30~18:00
定休日 なし
●名鉄犬山線 布袋駅より徒歩8分
https://www.ooguchiya.co.jp/

◆芝神明榮太樓の江の嶋最中

 岡本太郎の字による看板が目をひく芝神明榮太樓。明治18年に日本橋の榮太樓總本鋪からのれん分けし、芝大門ならではの和菓子を生み出しています。

 芝生れの文豪・尾崎紅葉が菓名を付けたという「江の嶋最中」は、アワビやハマグリ、帆立貝など5種類の貝の形をした皮に、それぞれ異なる餡を詰めたもの。皮と餡の絶妙なバランスが楽しめるひとくちサイズで、かわいらしさもひとしおです。

 お味は、つぶ餡、こし餡、白餡、胡麻餡、柚子餡の5種。個包装されているので、袋を開けた時の香ばしい香りがたまりません。サクッと軽やかな皮に、しっとりなめらかな餡がぎっしり詰まっていて、潮騒が聞こえてきそうな雅な風情とともに味わえます。

芝神明榮太樓

所在地 東京都港区芝大門1-4-14
電話番号 03-3431-2211
営業時間 9:00~19:00、土曜~14:00
定休日 日曜、祝日(8月のみ土・日曜、祝日)
●都営地下鉄浅草線・大江戸線 大門駅より徒歩1分、JR山手線 浜松町駅より徒歩4分
https://www.shiba-eitaro.com/

2024.06.27(木)
文=嶺月香里
写真=平松市聖