この記事の連載

長い年月の循環が育む一皿のスペシャリテ

◆ハウスサンアントン

 この村のすべてを物語る、一皿のサラダ。それが、ホテル&ジャムファクトリー「ハウスサンアントン」の「循環のサラダ」だ。旬の野菜を村の台所・麻釜で茹で上げ、オリーブオイルと塩を振る。それだけなのに、驚くほど味わい深く、美しい。

「雨や雪が50年の時を経て温泉として湧き上がる。その循環があってこそ生まれた贅沢なサラダです」

 そう語る片桐健策シェフはアルペンスキーの元全日本王者。競技引退後に料理の道へと進み、星付きレストランでの修業を経て家業であるハウスサンアントンのシェフとなった。

 フレンチをベースに郷土の食材や発酵食を取り入れ、カテゴリーを超えた自由な料理を生み出している。

 ここでしか味わえないディナーを堪能し、オーストリアの山小屋のような客室で憩い、翌日は長野のフルーツの魅力を最大限に引き出したジャムが並ぶ朝食でスタート。豊かという言葉の真の意味を教えてくれる、野沢ガストロノミーの発信基地だ。

ハウスサンアントン

所在地 長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9515
電話番号 0269-85-3597
料金 11,000円~(1室2名利用、1泊朝食付。1泊2食付 22,000円~)、夕食はコース 13,000円
チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
客室数 13
https://st-anton.jp

2024.03.28(木)
文=張替裕子(Giraffe)
写真=榎本麻美
取材協力=長野県観光機構

CREA 2024年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

行かなくちゃ、台湾

CREA 2024年春号

行かなくちゃ、台湾

定価980円

名物をしみじみ味わって、のんびりと街歩きしたい台湾は、少し見ぬ間に懐かしさはそのままに、ヘルシーに進化していました。次の旅は台北から足を延ばして、嘉義、台中、大渓など地方へも。行かなくちゃ!台湾へ。