この記事の連載
野沢温泉村 テロワールの旅
野沢温泉村 リトリートスポット3選
野沢温泉村蒸留所
自然に身を委ねる旅 野沢温泉村へ
![野沢温泉のシンボルともいえる麻釜で野菜を茹でるハウスサンアントンの片桐健策シェフ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/0/1280wm/img_90a16af19e7fbeaea1d388f6c6cecc58338178.jpg)
![野沢温泉の土地に根付くミネラルが野菜の味を引き立てるという。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/1280wm/img_43b60c20d6c684e1190380df6f7b23c2293352.jpg)
ブナが茂る山と棚田に囲まれた北信州の小さな村、長野県野沢温泉村。村の象徴である昨年開場百周年を迎えた野沢温泉スキー場は数多くのオリンピアンを輩出、上質な雪を求めて国内外のスキーヤーが何万人も足を運ぶ。その国際色豊かな街の光景はまるで異国の地のようだ。
村人の調理場でもある共同源泉「麻釜」(おがま)や外湯と呼ばれる13の共同浴場がある温泉街には、海外経験の長いシェフが手がける本格的なフレンチやイタリアン、国際色豊かなバーやクラフトジンの蒸留所なども立ち並ぶ。古き良き日本と現代のカルチャーが自然と一体となっている野沢に魅了されたインバウンド客で、ウインターシーズンは朝早くから夜遅くまで村中が賑わう。
![片桐シェフだけでなく、村の人たちが気軽に使う麻釜。野沢温泉を象徴する場所だ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/1280wm/img_95b9e113acc1d3ea39aef731347610c9470058.jpg)
一方で、この地の豊富な天然水も村人たちの大きな誇りだ。保水力の高いブナの森に含まれた雪解け水は、枯葉や土が重なった自然のフィルターでろ過され、30年かけて湧き水となり、50年かけて温泉になるという。この循環こそが、村のお年寄りとフレンチのシェフが麻釜に並んで野菜を茹でるのどかな暮らしや豊かな実り、アクティビティの楽しみを与えてくれる大自然を支えているのだ。
これからのグリーンシーズンは、山々が美しく輝き、山菜やタケノコなど旬の味覚にあふれる、野沢の旅にぴったりの季節。“ウェル・ビーイング”という言葉が何より似合う村、野沢温泉村へ、自分をまるごと委ねに出かけてみよう。
2024.03.28(木)
文=張替裕子(Giraffe)
写真=榎本麻美
取材協力=長野県観光機構
CREA 2024年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。