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自然に身を委ねる旅 野沢温泉村へ

 ブナが茂る山と棚田に囲まれた北信州の小さな村、長野県野沢温泉村。村の象徴である昨年開場百周年を迎えた野沢温泉スキー場は数多くのオリンピアンを輩出、上質な雪を求めて国内外のスキーヤーが何万人も足を運ぶ。その国際色豊かな街の光景はまるで異国の地のようだ。

 村人の調理場でもある共同源泉「麻釜」(おがま)や外湯と呼ばれる13の共同浴場がある温泉街には、海外経験の長いシェフが手がける本格的なフレンチやイタリアン、国際色豊かなバーやクラフトジンの蒸留所なども立ち並ぶ。古き良き日本と現代のカルチャーが自然と一体となっている野沢に魅了されたインバウンド客で、ウインターシーズンは朝早くから夜遅くまで村中が賑わう。

 一方で、この地の豊富な天然水も村人たちの大きな誇りだ。保水力の高いブナの森に含まれた雪解け水は、枯葉や土が重なった自然のフィルターでろ過され、30年かけて湧き水となり、50年かけて温泉になるという。この循環こそが、村のお年寄りとフレンチのシェフが麻釜に並んで野菜を茹でるのどかな暮らしや豊かな実り、アクティビティの楽しみを与えてくれる大自然を支えているのだ。

 これからのグリーンシーズンは、山々が美しく輝き、山菜やタケノコなど旬の味覚にあふれる、野沢の旅にぴったりの季節。“ウェル・ビーイング”という言葉が何より似合う村、野沢温泉村へ、自分をまるごと委ねに出かけてみよう。

2024.03.28(木)
文=張替裕子(Giraffe)
写真=榎本麻美
取材協力=長野県観光機構

CREA 2024年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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行かなくちゃ、台湾

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行かなくちゃ、台湾

定価980円

名物をしみじみ味わって、のんびりと街歩きしたい台湾は、少し見ぬ間に懐かしさはそのままに、ヘルシーに進化していました。次の旅は台北から足を延ばして、嘉義、台中、大渓など地方へも。行かなくちゃ!台湾へ。