数々の温泉はもちろん、サウナやヨガ、森林ウォークなど、心身を癒すスポットやプログラムが豊富に揃う野沢温泉村。美しい自然の恵みをたっぷり吸収して、自分自身をリセットするひとときは、グリーンシーズンを迎える野沢温泉村で満喫したい。
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外湯は13ヶ所! 気軽に湯めぐりが楽しめる温泉街
端から端まで歩いて20分たらずという、こじんまりした野沢の温泉街。けれど、そこには外湯と呼ばれる古くからの共同浴場がなんと13ヶ所も点在している。それぞれ造りも大きさも異なり、周辺の住民が「湯仲間」という制度をつくり、当番制で毎日掃除をしているそう。観光客も利用することができるが、決められた料金はなく、入り口の箱に感謝の気持ちとして思い思いのお賽銭を入れるのがならわしだ。
中でも村のシンボルともいえるのが、温泉街の中心にある「大湯」。江戸時代の湯屋の趣を思わせる佇まいで、海外からの観光客からも人気を集めているという。湯船は「あつ湯」と「ぬる湯」の2つ。野沢温泉は湯温が高いのが特長で、「あつ湯」はもちろん「ぬる湯」でも慣れない人には熱めなので要注意だ。
数ある外湯の中でも美肌の湯として知られるのが「熊の手洗湯(てあらゆ)」だ。その昔、手負いの熊がこの温泉で傷を癒していたことから発見されたという伝説が残る外湯で、切り傷やかぶれ、肌荒れに効果があるといわれ、女性からの人気が高い。野沢温泉にしては湯温が低めなのも特色だ。
近年は新たな日帰り入浴施設「麻釜温泉公園 ふるさとの湯」も加わり、ますます外湯めぐりが楽しくなっている。この地を愛したアーティスト、岡本太郎の書による「湯」の文字がデザインされた野沢温泉オリジナルタオルを片手にたどってみては?
さて、温泉街をのんびり散策していると、湯屋ではないのにもうもうと蒸気が立ち上がるちょっと不思議なスポットに出会うはず。
ここは、90度以上の温泉がこんこんと湧き出し、大釜、丸釜、茹釜(ゆでがま)、竹伸釜(たけのしがま)、下釜の5つの湯溜まりをなしている「麻釜(おがま)」。国の天然記念物に指定されており、観光客は足を踏み入れることができないが、村の人たちは野菜や卵を茹でたり、野沢菜を洗ったりと日々活用している。
野菜が茹で上がるまでのんびりおしゃべりを楽しむ村の人たちの姿もあり、まさに「野沢温泉の台所」といった光景は、見ているだけで心を和ませてくれる。これもまた、野沢温泉村の癒しのひとつだ。
2024.04.05(金)
文=張替裕子(Giraffe)
写真=榎本麻美
取材協力=長野県観光機構