この記事の連載

 こんにちは、ドラマウォッチャーのMです。2024年がスタートしてから早2カ月、冬ドラマ、楽しんでますか?

 今期のドラマもなぜか頑張るおじさん多めで、個人的にハマれる作品がたくさんある嬉しいシーズン。そこで今回も、注目したいおじキャラと、演じる俳優たちを4名厳選してご紹介します。

 ちなみに、このコーナーでは “おじさん俳優”を、40歳以上と定義してます。

前篇『おっさんずラブ-リターンズ-』の吉田鋼太郎、『闇バイト家族』の光石 研


◆『春になったら』の木梨憲武

底抜けの明るさとちょっぴりの切なさ、ノリさんの魅力をフルに堪能できる秀作!

 木梨憲武さん(以下、ノリさんと呼ばせていただきます)がかなり久しぶりにドラマに出演する、しかも主演! 奈緒ちゃんと親子役! と、情報を目にした時からかなり盛り上がって期待していたのが、『春になったら』(関西テレビ)。

 ノリさんはすご腕実演販売士・椎名雅彦役。妻を亡くした後ひとりで娘の瞳(奈緒)を育て、反発しあい、でも助け合いながら暮らしてきたけれど、ある時具合が悪いので検査をしたら、癌で余命3カ月と宣告されてしまう。ちょうど同じ時期に、娘が売れないお笑い芸人と結婚すると言ってきて……。

 と、物語自体はものすごく珍しい設定というわけではないのに、登場人物それぞれの気持ちの推移がよくわかる丁寧なつくり。主演のふたりはもちろん、周囲のキャストたちの自然な演技に、毎週感情移入して見入ってしまうくらいうまくできている、今季イチの秀作ドラマだと思ってます。

 その話術と明るいキャラクターで客を引き込む敏腕実演販売士なんて、ノリさんのために考えられたような役だから、本当にそういう人がいるかのように演じられているし、余命を宣告されてはいるけれど、「“癌を治療している人”になって終わりたくない」、とやりたいことをやって楽しく生活することを優先する雅彦は、ノリさん自身を表しているようにも思えます。

 そんな父親の気持ちを理解してあげたいけれど、でもなかなかできなくてぶつかってしまう娘役の奈緒との相性もバッチリ。ふたりともどの会話のシーンでも本当に自然で、初共演とは思えない。きっとノリさんのオープンマインドなキャラクターが、大きく影響しているのだと推察します。

2024.02.24(土)
文=斎藤真知子