大地が育む命をいただき、食の尊さを改めて知る
![北海道の大地が育む滋味をのんびり味わえる人気店「かっこう料理店」。土鍋で炊き立てのごはんに感激。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/1280wm/img_f4c8b25eaec239f9795579d78baffb89689641.jpg)
大小約1万4,000もの島々からなり、多様な風土と文化をもつ日本のなかでも、北海道ほど大地の豊かさ、厳しさ、そして温かさを実感できる場所はありません。
なかでも十勝地方は、農業・酪農・畜産・水産が盛んで、まさに北海道を代表する食材王国。唯一無二のテロワールを堪能する旅を楽しもう。
海辺のオーベルジュでジビエの真価に開眼する
◆ELEZO ESPRIT エレゾ・エスプリ[豊頃町]
![豊頃町(とよころちょう)を拠点に活動する食肉料理人集団「ELEZO」の新たなステージとして誕生したオーベルジュ「ELEZO ESPRIT」。ダイニングで提供される、この土地で命を育んだ蝦夷鹿の旨みに驚嘆。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/1280wm/img_4a25571eeaf697b0dc38ca2353c275731163515.jpg)
今や美食シーンに欠かせないジビエ。
十勝発祥の地・豊頃町で狩猟・家畜家禽の生産から枝肉熟成、シャルキュトリー製造、レストラン運営まで一貫体制で取り組む「ELEZO」が、新たなステージとしてオーベルジュを開業しました。
![左:オープンキッチンに立つ「ELEZO」代表の佐々木章太さん。右:細心の注意が必要な蝦夷鹿の火入れ。美しい色合いからも肉の上質さが分かります。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/b/1280wm/img_7b5d3bff44abd69d4d874cba7912157c161362.jpg)
「お客様に提供する蝦夷鹿には個体ごとに、どこで何を食べ、どんな風に育ったのか、それぞれストーリーがある。そうしたことも含めて、十勝という土地で伝えたい」と語る代表の佐々木章太さん。
![毎日3組6名のみが唯一無二の美味を堪能できるダイニング。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/9/1280wm/img_497e3cf5f7fa72e67045e3e63bfbe210585627.jpg)
十勝の料理人の家系に生まれ、東京の名店フレンチなどで修業を重ねた後に帰郷。実家のレストランで厨房に立っていたある日、強い衝撃を受けたのが、常連の猟師さんからの「命を食材に転換する作業をしたことがあるのか?」の言葉。
さらにドーンと届いた鹿肉の味わいに驚嘆した体験が魂に響き、24歳で「ELEZO」を立ち上げました。
![素材は蝦夷鹿のみ。ねっとりと濃厚な味わいがたまらない「コンソメスープ」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/1/1280wm/img_517bd8529264da43b4eaec5de79b15e4525166.jpg)
それから18年、たえず進化を目指す佐々木シェフの一皿は常に渾身の集大成。
「自然、生命、食肉に関わる人たち。すべてに感謝するからこそ、なにひとつとして無駄にはできません」
![蝦夷鹿のほか、広大な土地で育つ放牧豚などの熟成した旨みと香りが口に広がる「シャルキュトリー盛り合わせ」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/a/1280wm/img_2adc0acd025e832a4c15ef5327cc73a01372243.jpg)
野山で逞しく生き抜いてきた個体の生命力を感じられるよう火入れした赤身を口にした瞬間、誰もが感激。そして心の中に感謝の気持ちが広がっていることに気づくでしょう。
唯一無二の価値ある美食体験が、まさにここにあるのです。
![客室はそれぞれ独立した3棟3室のみ。いずれも2名での利用が基本。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/1280wm/img_82922b5800f9f9daf2d777de97beb3e4694380.jpg)
ELEZO ESPRIT エレゾ・エスプリ
電話番号 070-1580-1010
料金 1名55,000円~(1室2名利用、夕・朝食付き)
アクセス とかち帯広空港から車で約60分
https://esprit.elezo.com/
2024.01.23(火)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵、長谷川 潤
協力=北海道観光振興機構
CREA Traveller 2024 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。