那覇空港で体験した「一番寝るのが大変だった」エピソードとは
――パッシュファミリーの生活費は、1カ月につき1人3万円で賄っているそうですね。おすすめの節約法があれば、ぜひ教えてください。
セリーヌ 節約の第一条件として、シンプルライフを心がけています。レストランにも行かないし、コーヒー屋さんでコーヒーも買いません。全ての移動手段は自転車ですし、寝るのもテントなので、そこにお金はかからないんです。たとえば、大阪に旅行に行ったら、いろんなところを観光するのが普通だと思うんですけど、私たちにとっては毎日が観光なので、わざわざ労力とお金を使って観光したいとは思わなくて。自転車でスローな旅をしていると、ガイドブックにも載ってない小さな寺院や遺跡を見るチャンスにも恵まれているんですよ。
――ここからは、グザヴィエさんにもお話を伺います。お二人が思う、自転車旅のいいところは?
グザヴィエ・パッシュ(以下グザヴィエ) 自転車なので、非常にゆっくりといろんなものを見られることですね。また、どんな天候の中でも常に自転車を漕いで外に居続けることができるのは、自分たちにとっては幸せなことです。
セリーヌ 私がいいなと思うのは、成長できること。2人の娘と一緒に自転車旅をすることで、私自身も成長できるし、娘たちの成長もすごく感じられます。
――逆に大変だったことはありますか?
グザヴィエ どれだけ家族でケンカをしたとしても、1人だけ抜けて「じゃあ飲みに行くわ!」ということはできないんですね(笑)。1つのテントで常に一緒にいないといけないというのは、大変なときもありますね。
セリーヌ 自転車で坂を登らなければいけないとか、雨の中で自転車を漕がなければいけないとか、そういったことは、実はそんなに苦じゃなくて。今日どこで眠れるかわからないといった、精神的なことの方がストレスを感じますね。自転車を漕いで終わりではなく、それが生活でもあるので。
――そういった不安な気持ちは、どのように解消していますか?
グザヴィエ これについてはもう、慣れですね(笑)。自分自身を信じるしかない。たとえばベストな寝床がなくても、その中でのベストを探すんです。
――ちなみに、寝るのが一番大変だったところは?
セリーヌ 以前沖縄に行った時のことなんですけど、那覇空港に着いた時に、空港から出ないといけなくて。そのとき、テントを持っておらず、ホテルやタクシーもゲットできなかったので、交番に行って「泊めてください」と言ったんですけど、断られてしまって(笑)。結果的に空港の中で1晩過ごしたのですが、自分たちにとってはどんな荒野で寝るよりも大変でしたね(笑)。でも、楽しい思い出です。
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2023.12.10(日)
文=石橋果奈
撮影=細田 忠
写真提供=パッシュファミリー