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まだワンチャン、可能性はある

 自己満足かもしれないが、自分の中でやれることをすることが、世界を変えるいちばんの早道だと窪塚さんは断言する。

「人が戦うときって、今までだったら、何かしらの敵を作ってしまっていた。でも、敵を作ることで、その敵が力を持って、目の前に立ちはだかってしまうんです。でも、『打倒〇〇』とかにするんじゃなくて、敵を作らず、ただ自分のやるべきことをやるだけなら、敵は存在しないわけだから、目の前に立ちはだかる障害はなくなる。自分のやるべきことはやれて、世の中も良くなって、かつ敵がいないっていう世界線って絶対にあると思うんですよ。ボブ・マーリーの戦い方が間違っていたとは思わないし、彼らがいたから、今の我々が覚醒できたわけだけど、今の時代の戦い方っていうのは、一人一人が敵を作らずに自分の理想を一つずつ積み上げていくやり方なのかなって思います」

 SNSの発達も含め、誰もが平等に発信源を持っている現在。一人一人が地球のために善行を積んでいけば、確かに世界は変わるのかもしれない。

「SNSが台頭して、心から『世界を良くしたい』と考えている人たちに触れやすい時代になってると思う。僕、今度、子供の受験で面接を受けるんですけど、今はYouTubeに『面接の受け方指南』みたいなチャンネルもたくさんあって(笑)。SNSを深掘りすれば、地球を良くするとか、自分を磨くためのノウハウが溢れかえってるわけじゃないですか。そういう時代の良さを順手にとって、生き切るルーティーンに入れれば、まだワンチャン、世界が良い方に変わっていく可能性はあるんじゃないかと思っています」

2023.11.02(木)
文=菊地陽子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=佐藤修司(Botanica make hair)