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 見た目にしても、内面にしても、文句なしに「カッコいい大人」を体現している窪塚さんでも、私生活では時折、酒に飲まれることがあるという。そんなカッコ悪い自分のことを、ユーモアたっぷりに話す。そうして、話題は「自分のあり方」を貫いた結果手に入れた“幸福”について及んでいった。

「俺が酒を飲んでるんじゃなく、『あー俺今、完全に酒に飲まれているな』ってことはしょっちゅうあって(笑)。『それ込みで洋介だよね』って笑ってくれる仲間だったりファンの人たちがいることは、自分が信じた道を歩いてきた結果かな、と。40代になって、『あのときのあれは間違ってなかったな』っていうのを、今になって確かめられることは多々あって……。何より、『今が幸せだ』と断言できることは、今までの道が間違ってなかった証拠だし、この先も幸せでいられる保証にも繋がるんじゃないかなと思いますね」

 年齢を重ねて良かったと思うことはいくつもあるが、「過去の出来事は変えられないけど、それに対する印象――思い出の意味は変えられる」と知れたこともその一つだ。

「過去の過ちや失敗も、自分の中で、『あれがあったから、今があるんだ』と思えたら、それは、前に進むためのエネルギーになる。常に過去の出来事をエネルギーに変えていければ、未来に何が起ころうが、『これを乗り越えたらもっといい自分に出会える』『もっといい世界になる』って信じられるじゃないですか」

 コロナ禍を経て、何気ない、取るに足らないような日常がいちばん幸せだと身につまされたことも、コロナ禍を経験して感じたことの一つだという。

2023.11.02(木)
文=菊地陽子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=佐藤修司(Botanica make hair)