さらに、トリートメントはしっかり着色するため、染まるシャンプー以上に美容室でのヘアカラーに影響が出る可能性が高まります。美容師としては、美容室に来店する前には使用しないこと、またふだん使用している場合はその旨を美容師さんに伝えることを推奨します。

 以上のことから、染まるトリートメントを「手軽」と感じるかどうかは、その方次第かもしれません。「セルフでやる手間と時間、更に完成度を考えたら、美容室に行く方がコスパがいいかも」と感じる方もいるのではないでしょうか?

「シャンプーを変えるだけで」は理想論

 一見、シャンプーを変えるだけで白髪が簡単に染まるようで魅力的なのですが、残念ながら現在の水準では、多くの人が求める理想的な商品になっているとはいえないのではないでしょうか。

 また、将来、消費者の「たったこれだけで」というニーズを満たす画期的な商品が誕生したとしても、お手頃な価格で販売されるまで時間がかかるでしょう。なぜなら、それほど画期的な商品であれば、まずメーカー側は“売れる見込み”をもって「高級な商品」として販売するはずだからです

 画期的なものは高級品としてはじまり、長い期間を経て、企業努力によって徐々に低価格帯に落とし込まれていきます。そして低価格で扱えるようになる理由もまた、その頃にはその商品より「もっと画期的な商品」が爆誕しているからなのです。

▼消費者が便利なのはイイこと

 これらの商品は先述した通り、「美容師の施術に干渉する可能性がある」ことから、否定的に見る美容師も多く、賛否両論ある商品です。

 僕自身は「消費者側にとって便利なのはイイこと」だと考えているので、完全に否定はできないと考えています。新しい商品によって、それぞれのライフスタイルに合わせて選択肢が増えて、快適にお洒落ができるようになるとイイですね。

2023.10.29(日)
文・イラスト=操作イトウ