9月に入り、夜風が少し涼しくなってきた今日この頃。「そろそろ髪も秋スタイルに」と考えて一つ結びを下ろしてみたら、なんだか傷んでいる気がする。夏仕様に明るめのカラーをしていたり、夏の間に強い日差しにさらされたりして、秋の髪はダメージを負っている可能性が高いです。
髪の手触りや見た目の変化は自覚しやすく、悩みの種になりがちです。実際、美容師である僕は日々お客様と接している中で、「髪が傷んでいて……」「バサバサなのをなんとかしたい」「こんなに傷んで大丈夫ですか?」などと相談されることがとても多いです。
ですが、美容師からすると、お客様は自分の髪が「バサバサ」しているのと「傷んでいる」のを混同しているのでは? と感じることがあります。
ちょっと謎かけのように聞こえますが、それって、どういうこと?
「傷んでいる」と「バサバサ」は、ちょっと違う
髪の毛は、「バサバサ」だからといって「傷んでいる」とは限りません。髪質やセットの仕方によっては、健康な髪でもバサバサに見えますし、反対にダメージヘアでもツヤツヤに見せることはできます。
▼髪が「傷んでいる」状態とは?
髪の毛は、「海苔巻き」のような3層構造になっています。海苔(キューティクル)、シャリ(コルテックス)、具(メデュラ)の三層構造で、「シャリ」と「具」が「海苔」で守られているのが健康な状態です。
海苔の部分にあたるキューティクルは髪の毛一本一本を覆っていて、鎧の役割をしています。
このキューティクルは鱗のように折り重なっていて、ダメージを負うと剥がれます。そして、それは自然回復することがありません。ダメージを負って剥がれると、隙間からコルテックスとメデュラに保持されている成分が流出してしまい、髪の毛は弱ってしまいます。
つまり髪の毛にとってのダメージとは、
①キューティクルが傷付き、剥がれること
②キューティクルの剥がれ落ちた隙間から、コルテックスとメデュラに保持されている成分が失われること
この2つを指します。
①については、キューティクルが剥がれると、一本一本がでこぼこになります。すると髪の手触りが悪くなり、艶も失われます。②については、タンパク質などが流れ出てしまうと、ハリがなくなったり、薬剤の効果が弱まったり、薬剤が定着しにくくなったりします。髪が傷んでいるとヘアカラーの色がすぐ落ちてしまうのも、このためです。
2023.09.09(土)
文・イラスト=操作イトウ