「トリートメントで傷んだ髪が回復する」はカン違い
とはいえ、お洒落をするためにはコテやアイロン、パーマやヘアカラーを避けることは難しいですし、紫外線や摩擦によるダメージを防ぐのはもっと難しい。ヘアケアは、それらによるダメージとうまく付き合いながら、「いかに髪を保護して日々を過ごすか」が大事です。
なぜ一度傷んだ髪が元に戻らないのか、基本的なことを確認しましょう。髪の毛は、根元から伸びていきます。よって、一番健康な状態である“根元の毛”も、ロケットえんぴつのように次第に“毛先”になります。何年もかけて徐々に“毛先”になっていく過程で、外からの刺激を受け続けてダメージを負っていきます。肌のように、古い細胞が新しい細胞と入れ替わったりはしないのです。
トリートメントで髪の状態を改善できると思っている読者もいることでしょう。しかし、髪の中に入ったトリートメント成分は、一時的に髪の状態を改善するものの、中で定着することはなく、徐々に抜けていってしまうのです。
これは、美容室で行うトリートメントであっても同様です。どんなに優秀なトリートメントも、「髪の毛の中にずっと定着する」ということはありません。
つまりトリートメントの機能は、傷みをカバーする「補修」であって、元通りに治す「修復」ではないのです。
したがって、傷んでからトリートメントで対応するよりも、「そもそも傷まないようにするためのアプローチ」の方が重要なのです。
2023.09.09(土)
文・イラスト=操作イトウ