「ダメージ髪」と「バサバサ」の違い

 さて、冒頭で傷んでいる髪とバサバサの髪は違うと書きました。髪のバサバサは「艶」と関係しています。健康な髪の毛だったとしても、光を反射しにくい状態だと艶っぽく見えず、バサバサに見えてしまうのです。

▼髪をツヤツヤに見せるには

 「艶」とは、「一定方向に反射した光」のことです。「光」は、“面”に反射して光ります。真っ直ぐな“面”であるほど光が一方向に反射して艶やかに見える一方で、凸凹があるほど光が乱反射し、艶やかに見えません。

 同じように、髪の毛においても“直毛”であるほど光が一方向に反射して光り、“ウェーブ”があるほど艶やかに見えません。アジアンビューティーな黒髪ストレートは、東洋人に多い“ウェーブの無い”髪質によって艶やかに見えているのです。

 このことから、髪はダメージの度合いにかかわらず、ウェーブがあるほど艶やかに見えなくなるとも言えます。

▼髪を「すき」過ぎると、バサバサになる

 では、具体的にどういうときに、髪の健康状態に関係なくバサバサしているように見えるのか。よくあるのは、長い毛の中に「短い毛」が交じっているケースです。この原因の一つは、「髪をすいている」ことです。ロングヘアになるにつれ、毛量が増えて扱いにくくなるため、美容師さんに「すいてください」とオーダーする方も多いと思います。しかし、過剰に髪を「すく」と「モケモケの毛」が増えて、結果的にバサバサに見えてしまうのです。

 髪の毛は、長い方が真っ直ぐに落ちやすくなります。毛先が“重り”になって、ウェーブを引っ張っるからです。これは髪の毛にウェーブがあっても、同様です。

 しかし髪をすく(これを美容師の世界では「セニングで切る」と言います)と、「短い毛」がたくさん作られます。短くなった毛には長さの“重り”が無くなるため、表面にウェーブが出やすくなるのです。

2023.09.09(土)
文・イラスト=操作イトウ