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日本に関連する作品や製品も多数展示

 当然ながら常設展も素晴らしいものばかり。例えば、日本人の作品や日本製のプロダクトだけでも、横尾忠則や田名網敬一のポスターや榮久庵憲司によるキッコーマンのしょうゆの瓶、柳宗理の家具、ソニーのウォークマン、ナショナル(現パナソニック)のラジオ、ダイハツのミゼット(三輪自動車)など多彩なラインナップ。なんだか誇らしい気持ちになります。

新橋にあった「きよ友」が「M+」に移築、展示

 必見なのが、倉俣史朗によって1988年にデザインされた新橋の寿司屋「きよ友」。2004年の閉店後は開かずの扉状態でしたが、海を越えてM+に移築され、そのデザインに触れられることに! 店舗がまるごと展示されている大胆さには驚くばかり。茶室を参考にしてデザインされているそうです。

 倉俣の作品は、バラをアクリルに閉じ込めた名作イスと名高いミス・ブランチやハンカチをつまんだようなフロアランプとして知られるK-SERIESなども展示されているので、こちらもお見逃しなく。

ウォーターフロントらしさを活かした展示室も

 ウォーターフロントのロケーションを活かして、作品とともに絶景が見られる展示室もあります。海越しに見えるビル群を眺めながら、しばし休憩するのもありですね。

 鑑賞後は建物周辺を散歩しながら、香港らしい風景を満喫してみましょう。

西九龍文化地区は見どころ満載

 「M+」があるのは、香港島の西側に位置する西九龍文化地区。近年開発が進み、香港の中でも文化やクリエイティブな産業の発信地として人気のエリアとなっています。

 2022年5月にはこのエリアに「香港故宮文化博物館」がオープン。敷地面積はおよそ1万3000平方メートル。ギャラリー数は9つで、北京の故宮から集められた1000点近い貴重な宝物が展示された圧巻の内容です。ぜひ「M+」とセットで訪れてみては?

M+(エムプラス)

所在地 West Kowloon Cultural District, 38 Museum Drive, Kowloon
電話番号 +852 2200 0217
営業時間 10:00~18:00(金曜 10:00~22:00)
定休日 月曜
https://www.mplus.org.hk/

【取材協力】

香港政府観光局
http://www.discoverhongkong.com/

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2023.10.09(月)
文・撮影=石川博也