この記事の連載

自分の弱さを受け入れるのは時間がかかっていい

――「落日」で演じた真尋は、過去のトラウマによって後ろ向きになってしまった女性ですが、自分の弱い部分や見たくないことを受け入れるのは覚悟がいることだと思います。吉岡さんにもそういった経験はありましたか。

 私も同じような経験をしたことがありますが、すぐに解決することってないし、長い目で見たら楽になることもあると思うんです。今の自分が嫌だなと思っているところを、時間をかけて変えたり肯定してあげたりしてもいい。今すぐ何かを変えようと思わない方が、気が楽になると思います。10年くらいかけて「前向きな人間になろう」とか「くよくよする自分を卒業しよう」とか、そのくらいゆっくり時間をかけてもいいんじゃないかな。

――もし、女優の仕事がなくなってしまったらと不安に思うことはありますか?

 役者はオファーをいただいて初めて成立する仕事なので、そういった不安はもちろんあります。そういう時の解決法としては「私はこういうこともできます」といったプラスアルファを見つけて、自分の持ち味にしていくんです。例えば、私は割と真面目なタイプで人からもよく言われるのですが、その真面目さをマイナスではなく「他の人が追いつけないくらい真面目にやってみよう」とプラスに考えてやってみる。そうやって少しずつ不安を解消するのも一つの手かなと思います。

――マイナスだと思っていたことをプラスに変えて、自分の武器にしていくんですね。

 他の人たちと比べたら、自分ができていないことや持ってないものをたくさん見つけてしまうけど、自分にしかないものって実は意外とあるんですよ。それはただ実行していないだけのこともあるので、自分ができることをもう一度見直して、それを120%で出せるようにしています。

» 【前篇を読む】吉岡里帆がドラマ「落日」撮影中に「救われた」と語る北川景子の言葉

吉岡里帆(よしおか・りほ)

1993年1月15日生まれ、京都府出身。2013年より芸能活動をスタートし、16年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」で注目を集める。近年の主な出演作に映画「ハケンアニメ!」、「アイスクリームフィーバー」、「Gメン」などがあるほか、待機作に10月クール主演ドラマ「時をかけるな、恋人たち」が控える。

『連続ドラマW 湊かなえ「落日」』

WOWOWにて毎週日曜22時~放送・配信中(全4話)
※10月1日(日)22時~第4話(最終話)放送・配信

出演:北川景子 吉岡里帆 久保史緒里(乃木坂46)/竹内涼真 黒木瞳 ほか
原作:湊かなえ『落日』(ハルキ文庫)
監督:内田英治
脚本:篠﨑絵里子

← この連載をはじめから読む

2023.10.01(日)
文=根津香菜子
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=北原 果(KiKi inc.)
スタイリスト=安藤真由美(スーパーコンチネンタル)