「ルノートル」といえば、フランス・パリで最高峰のメゾンのひとつ。多くの職人が本物の味を受け継ぎ、同時に、新しいガストロノミーを生み出している。
今回、東京駅にほど近い新丸ビルに誕生したのは、そんなエッセンスをしっかりと受け継いだ旗艦店。日本でも長年愛されていたが2009年に一旦撤退し、2019年に再上陸、5年目を迎えて誕生したお店はこぢんまりとしながらもしっかりと厨房を持ち、パリの世界観を受け継ぐ場所となる。
パリの「ルノートル」が日本に帰ってきた!
「ルノートル」は1957年に、創業者、ガストン・ルノートルがパリでお店をオープンして以来、お菓子だけでなく、ガストロノミーやケータリング、総菜、学校と、ルノートルはパリのガストロノミーの代名詞。フランスでは知らない人はいない人物だ。
現在もガストン・ルノートルの遺志を受け継ぎ、ギー・クレンザーシェフのほか、M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を持つ職人が各部門で腕を振るっている。
一度は日本に上陸したルノートルだったが、一旦は撤退。今回はもともとルノートルの大ファンだったという大阪にある和洋菓子の老舗「中島大祥堂」の社長が、パリ出張の際に運命的なものを感じ、コンタクト。
これまでさまざまな大手企業が再上陸を打診したというが、職人を大切にする社風やお菓子への哲学に共感し、再上陸の話はとんとん拍子にまとまったという。
旗艦店には厨房を作りたかった
2019年に再上陸をしてから5年目、準備を重ねてオープンしたのが今回の旗艦店。日仏の関係者そろって夢見たのは“厨房がある”お店。
セントラルキッチンで作ったお菓子を店に運べば、その分、たくさんのお菓子を並べたり、イートインスペースも作れるけれど、それでも厨房を併設したい。ルノートルの世界観をしっかりと伝えるためには、店内に商品を並べるだけでなく、焼きたての甘い香りが漂い、厨房の活気が直に伝わることなのだ。
ちなみに、店内のデザインもフランスの店舗を手掛けたデザイン事務所が担当。一歩入るとフランスにいるような気持ちになれる空間づくりに納得。
2023.08.23(水)
文=CREA編集部