加藤 何より嬉しいのは、ほぼすべての感想が「この形式で第二弾を!」と次作に期待してくれている。これは最大の賛辞じゃないかと思います。

 道尾 今回の「御仏の殺人」に「CASE FILE #1」と銘打ったかいがありましたね。この形式はまだまだ可能性があるし、模倣がしにくいのも強み。物語、音源、画像などを僕が最初にすべて作るという分業不可の部分と、僕が考えたことを実際に「物」にする製造から、管理、流通、販売までのノウハウを持つSCRAPの企業力とが合わさって初めて実現できるものだから、まず真似できない。少なくとも、「DETECTIVE X」を超えるものは作れないと信じています。でも、万が一、似てるけどクオリティが低い作品が出て、そちらを先にやった人が「なんだ犯罪捜査ゲームってこの程度か」と思ってしまったらすごく嫌ですよね。

SCRAP社内でのデバッグ風景。
SCRAP社内でのデバッグ風景。

 加藤 確かに。海外で脱出ゲームに行くとたまに「う~ん、こんなんじゃないんだけどな」と残念な気持ちになるのと同じですね。ということは、第二弾を早めに。

 道尾 期待に応えるペースで出していくしかないですね。

続編は前作を超えてこそ

 道尾 映画の世界で2(ツー)が1(ワン)を超えることはないという通説がありますけど、それでは意味がない。小説でも続編を出す以上は必ず前作を超えられる確信がなければ書かないので、「DETECTIVE X」も前作を凌ぐ面白さに仕上げて、プレイする人がどんどん増えたらいいな。

 加藤 今回僕は、道尾さんというパートナーと、“物語”というパートナーを見つけたと思っているんです。謎解き、閃きというのはある程度パターンに分類できる有限なものですが、物語は無限。謎解きは物語と融合することで広がりを得るし、その器としてゲームほど適した形はないと思っています。ミステリーを読む喜びを内包しつつ、能動的に謎解きに挑む楽しさもある。この融合で今後もどんどん新しいものを作り出せるとワクワクしています。

2023.08.11(金)