この記事の連載

「いろいろな引き出しを持っていないといけないと思う」

――ネオンがまぶしいクラブでの撮影は、まさに東京を象徴するようですね。

 クラブなんて全然慣れていなくて……。撮影するときは緊張しましたし、頑張って格好つけてみたりする自分がいました。

――八村さんはダンスもやられているので、学生時代にクラブに行っていたのかと思いました。違うんですね。

 そうなんです。僕、クラブに行ったことがなくて。というより“東京の若者みたいな経験”をしたことがないんです。飲み会もしたことがないから……。

――え! ダンスサークルにいても飲み会はなかったんですか?

 なかったです。そのサークル自体、飲み会がまったくダメだったんです。未成年がいたらその上級生は飲み禁止で、上下関係もすごく厳しくて。

 上級生に連絡をするときは絶対に「お疲れ様です、八村と申します」から始まって「よろしくお願いいたします」でしめないとダメでした。

――社会人よりハードかもしれない、すごく体育会系なところだったんですね。

 そんなところにいましたね。その後、大学2年で芸能に進んだので、サークルは1年生で終わりました。さらに、そのタイミングでコロナになって、大学に行くこともなくなってしまい。そもそも仕事をしていて毎日練習があったので“ザ・若者の経験”を全然していないんですよ。

 経験として、クラブには行ってみたいなと思っていました。僕はダンスはもちろん、お酒も好きだし、外に出かけることも好きだし、友達と飲んでいたらついつい熱く語っちゃうタイプなんです。

――経験として行っておきたいとは、どういう心境なんでしょうか?

 こういう仕事をしているから、いろいろな引き出しを持っていないといけないと思うんです。例えば、クラブに慣れている人だったとしたら、どういう風にこの場所にいるのかとか、酔いつぶれてロッカーの角にいたことがある人なら、ここで写真を撮るときにもマインドが違うはずだと思うので、そういった引き出しができるのかなと。

――お仕事に生きるからということですね。東京編の写真を見ていて、自分でもハッとするような表情はありましたか?

 クラブの写真は、特に思いました。そのシチュエーションに頑張って溶けようとしている1枚でしたね。お仕事は……アーティストでも役者でも表現の仕事をしているからこそ、自分がした経験以外のところで伝えないといけないところも絶対にあると思っています。

 だから僕は大人を装っていても全然未熟なんだけど、「いっこ勝負してやろう」という顔をしているのが東京編だと思います。

八村倫太郎 ファースト写真集 『 record 』

定価 3,080円(税込)
撮影:中野修也
B5判/128ページ
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

八村倫太郎(はちむら・りんたろう)

1999年7月28日、神奈川県生まれ。2019年、ホリプロ主催の「Star boys Audition」に応募し、WATWINGのメンバーに。俳優業ではドラマ「ホメられたい僕の妄想ごはん」、映画「サバカン SABAKAN」、ドラマ「君の花になる」などに出演。2023年8月22日(火)パシフィコ横浜にてWATWING史上最大のワンマンライブを開催し、秋には全国ツアーを行う予定。

次の話を読む八村倫太郎がいま大切にしていること 「WATWINGの中では中間管理職」と語りつつ、実は甘えたがりな一面も!?

2023.07.15(土)
文=赤山恭子
撮影=山元茂樹