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周の兄・栄に急展開!

──エピソードや設定にあわせて連載回数が決まるわけではないのですね……。

磯谷 そうですね、そこはシビアですね。私は普通に働いていて、そこからマンガ家になったのですが、「マンガ家になれたことがゴール」ではなく、そこからが始まりというか……。描いても描いても打ち切りになったこともありましたし、連載していたマンガが売れなくて、途中話までしか単行本が発行されなかったこともありました。その時は本当につらかったですが、それでもいまだにマンガを描き続けているのは好きだからなんだろうなと思います。

──いち日が古い常連客から「戸川はんの足元にも及ばん。不愉快やから、早いこと仲居に戻り」と料理を叱咤されるシーンは強烈でした。ああいうシーンもご自身の悔しい経験をもとに描かれたのですか?

磯谷 あのシーン、私すごく好きなんです。あそこまでぼろくそに言われると本当に落ち込むし、イヤになりますけど、でも逆に「なにくそ」と頑張る原動力にもなる気がして。

 はじめからうまくいくことなんて人生にはないし、むしろ最初からうまくいくことのほうが少ないと思いますけど、結局、あんなに言われてもいち日が料理を止めないのは好きだからだと思うんです。私もマンガで落ち込んだ時は、一回離れてみて、そして気分が戻ってきたらまたやってみる……ということをしたりしています。

──気分転換やストレス解消も大事ということですね。磯谷さんはストレス解消にどのようなことをされているのですか?

磯谷 仕事としてマンガを描かせていただけることは本当にありがたく、これまでに一度もマンガを描くのがイヤになったり、ストレスと感じたりしたことはありませんが、思い通りにいかなくて落ち込むことはあるので、そんな時は推し活でストレス解消しています。

 昔はマンガを描くことがストレス解消だったんですけど、いまは仕事になってしまったので、推しのコンサートに行ったり、配信を見たりして、パワーをもらっています。

──『ながたんと青と』のキャラクターにもそれぞれに幸せな未来が開けているのか気になるところですが、今後の展開について可能な範囲で教えてください。

磯谷 次巻では、周の次兄・栄に急展開があり、また長兄・縁の幼少期からのエピソードなども少しずつ明らかにしていく予定です。どのキャラクターにも納得できる未来が訪れたらいいなと思いながら、連載が続く限り、それぞれのキャラクターの人となりを明かしていきたいと思っていますので、みなさん応援よろしくお願いいたします!

ながたんと青と-いちかの料理帖-(1) (KC KISS)

定価 550円(税込)
講談社
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2023.07.08(土)
文=相澤洋美