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門脇麦さんで実写化

──WOWOWで実写ドラマ化もされて、門脇麦さん演じるいち日が、年下の男性にときめく様子がリアルでさらに共感できました。磯谷さんはドラマ版をご覧になって、いかがでしたか?

磯谷 実は、実写版で周(あまね)の複雑で面倒なキャラクターを演じられる人はいないだろうなと諦めていたんです。ですが、作間龍斗さんが候補にあがってきた時は、あまりにお顔と雰囲気がぴったりで驚きました。

 桑乃木やいち日との日々を通じて、周がアンドロイドから人間になっていく過程を作間さんに演じていただけて、本当によかったと思いました。いち日も、門脇さんに決まった時から絶対的な安心感ですべてを委ねていました。こちらが想像していた以上に、上品ななかに強さもあわせもったかっこいいいち日を演じてくださって、とても感動しました。

──『ながたんと青と』は、主人公のふたりはもちろん、どのキャラクターもすごく魅力的です。ご自身で描いていて楽しいキャラクターはいますか?

磯谷 描いていて楽しいのは、山口家の長男・縁(ゆかり)の妻である鈴音と、いち日の伯母・丸川町子です。とくに町子おばさんは、話が行き詰まった時に登場してもらうと、思いがけない方向に話が進展するので、ありがたいキャラです。

 いち日と周の養子になったみっくんについても、最初はまったく考えていなかったんですよね。町子おばさんが勝手に動き回って、どんどん話がふくらんでしまいました(笑)。最近は、周のすぐ上の兄・栄(さかえ)も描いていて楽しいですし、悪い意味で子どもみたいだった、長兄の縁の成長を描くのも楽しいです。

──キャラクターの設定がすごく細やかですが、各キャラクターの輪郭などは連載前にどこまで考えていたのですか?

磯谷 最初に考えていたのは、いち日と周の縦軸だけです。周を三兄弟にしたので、連載が続くなら三兄弟のそれぞれの話も描きたいな、くらいには思っていましたが、どれくらい続けられるかは連載が始まってみないとわからないので。連載が続いていく中で、はじめに決めた縦軸に要素を肉付けしていく感じでふくらましていきました。

2023.07.08(土)
文=相澤洋美