これまで5回にわたってJR中央線沿線の本屋さんを巡る旅をお届けしてきたわけだが、今回からは所変わって神奈川県方面へ足を伸ばしてみようと思う。まず目指したのは、新宿駅から小田急線に乗って1時間弱の本厚木。おとなしく電車に揺られて行けばいいものを、せっかくの週末旅。元来の“自転車乗り”の魂がうずき、気付いたら自転車にまたがって、国道246号線をひたすらまっすぐ進むこと約3時間(ただ、あんまり自転車で走りやすい道路じゃないので、ここはオススメしない)、本厚木駅前の有隣堂に到着していた。
自転車旅のポイントは、空気や地形を直に感じること、頬に風を、ペダルに坂を、ハンドルに路面状態を感じることだ。厚木からは、大山や宮ヶ瀬ダム、清川村、ヤビツ峠(登ったことはないのだが、相当キツイらしい)……、大自然を十二分に堪能できる。そこまで気合いを入れなくても、飯山温泉や七沢森林公園など、丹沢山系に繋がる自然を気軽に楽しめる。今回、あくまでも本屋さんを目指すのが目的なので、近場を少し走るにとどめたが、日帰り温泉や食べ歩きも楽しそう。冬を迎えるこの時期、鮮やかな紅葉の名残と、葉が落ちて広くなった空、坂道を登ると、目の前にふぁーっと山並みが広がる。
神奈川県といえば有隣堂さんは外せない
神奈川といえば有隣堂さん。横浜、川崎、藤沢、厚木など、神奈川県内を中心に40店あまりを展開する地域チェーン店だ。普段は都内の恵比寿店、目黒店、ヨドバシAKIBA店にお世話になっているが、それぞれお店の個性もチェーン店としてのよさもある大好きな本屋さんだ。今回、この連載で神奈川シリーズに突入するにあたって、有隣堂は外せない。そこで、ある作家さんを囲むイベントでお目にかかったことがある、有隣堂厚木店の佐伯敦子さんにお願いしたところ、取材のご快諾をいただいた。
本厚木駅前の立地、地下のコミックス売り場は地域一番の品揃え、学生から通勤通学客、地元のお年寄りまで、幅広い客層。「最近は若い女性客に多くご来店いただけるように、イケメン店長はじめ、みんなでがんばっているんですよ」と文芸担当の佐伯さん。
ミステリー読みとして知られ、帯のコメントや雑誌の読書面などでお名前をよく拝見する。ミステリー棚に並ぶ東野圭吾さん、薬丸岳さん、長岡弘樹さん、真梨幸子さん、大崎梢さん……、佐伯さんのオススメなら間違いなく面白い、そう思わせるようなラインアップ。貫井徳郎さんや辻村深月さんは特設コーナーで絶賛オススメ中。
2013.12.14(土)