連載も5回目。これまで中央線沿線の本屋さんをご紹介してきたが、JR中央快速の終点といえば、東京駅。そして東京駅といえば八重洲ブックセンター本店。東京駅前の外堀通りに面した8階建て、開業35年の堂々たる老舗書店だ。

 最近、駅舎のリニューアル、旧東京中央郵便局のおしゃれ商業施設化(KITTE)、東京駅一番街、グランルーフといった周辺施設の再開発が続く、東京駅エリア。駅ナカも周辺施設も充実し、キャラクターショップやアンテナショップ、お土産も土産話のネタも揃っている。本屋さんも、丸善ジュンク堂グループの旗艦店である丸善丸の内本店、KITTEの中のセレクトショップ的本屋さんマルノウチリーディングスタイルなど、話題の店舗が多い。

八重洲ブックセンター本店。再開発で生まれ変わりつつある東京駅の新スポット、グランルーフの前から

 そんな東京駅エリアで変わらず存在感を示し続ける八重洲ブックセンターは、ビジネス街という立地、鹿島建設のグループ企業という出自もあって、ビジネス書、理工書などの品揃えについて読者の信頼が篤い。「お客様は圧倒的に男性会社員、おじさまが多い」と、1階文芸フロア担当の平井真実さんは言う。文庫よりもハードカバー、メディア連動のヒット作よりも時代小説新刊が、自己啓発書よりも資産運用本がランキング上位にあがる。重厚で本格、CREA WEB読者にはちょっと入りにくいのかもしれない、が、こんな面白い本屋さんはめったにない、おじさまっぽさにひるまず、売り場の奥へ、もう一歩足を踏み入れてほしい。

B-Beeプロジェクト。3階理工書フロアには、ミツバチ本を集めたコーナーも。屋上で飼っているミツバチは寒くなると活動が低下するので、南房総で冬ごもり

 ところで、八重洲ブックセンターではミツバチを飼っている。屋上に巣箱を置き、定期的に蜜を集めている。理工書のフロアには特設コーナーもあり、八重洲産のハチミツは、イベントやフェアでお客様に配布しているとのこと。平井さんもB-Beeプロジェクトメンバーのひとりで、ハチの世話や収穫、蜜源探索ウオークなどのイベントも行っている。ミツバチの行動エリアは、皇居や日比谷公園はもちろん、浜離宮あたりまで広がっており、ビルの屋上緑化などもあって、都会にも隠れた花園はたくさんあるらしい。

八重洲産のハチミツ、花畑のような八重洲ブックセンターのブックカバーを背景に。まだ販売するほどはないので、イベントなどでの配布に限られるレアモノ

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2013.11.30(土)