クリスマスには本屋さんへ
クリスマスシーズンということもあって、店内が華やかだ。もともと本の表紙は、カラフルなイラストや写真で飾られ、陳列されているだけでも色とりどりのパッチワークのようになる。レジ前、一番目立つ場所がすっかりクリスマスの雰囲気に。小説や絵本という定番の商品はもちろん、ハートフルな写真集や詩集、クリスマスソングのCD、カクテルやお菓子のレシピ集、ホットケーキ用のフライパンやパイ型まである。専門店でパイ型を買うのにはきっかけと知識と勇気が必要だけど、本屋さんでレシピとセットになっていれば、クリスマスな気分が後押しして買えるかもしれない。雑誌付録が豪華になって、雑誌売り場が雑貨店のようになってしまったブームは一段落したが、ここではちょっと一工夫。喫茶店を舞台にしたミステリー『純喫茶トルンカ』や『珈琲屋の人々』と並べて珈琲豆を、手芸本には作例を添えて売り場を飾る。
クリスマス絵本のチョイスも技あり。『疾風ロンド』などの山岳ミステリー、「ガリレオシリーズ」や「加賀恭一郎シリーズ」と、ベストセラーを連発する作家、東野圭吾さんのクリスマス絵本『サンタのおばさん』。こういう発見があるから本屋さん巡りはヤメラレナイ。
クリスマスに、大切な人の誕生日に、出産した友人へのお祝い、卒業・転勤する仲間へのはなむけ、何でもない日常の感謝に、本を贈ろう。あの人はどんな本を読むだろう、この本はもう持っているかな、あの本は似合うと思うよ、そんなふうに相手のことを考えよう。クリスマスには本屋さんに行こう。
プレゼントは出会い、相手のことをどんなふうに考えたかを伝えるメッセージ。有隣堂厚木店では、思ってもみなかった素敵なクリスマスプレゼントが、色とりどりのラッピングと笑顔のスタッフとともにご来店をお待ちしています。
【CREA WEB読者にオススメ】
佐伯敦子さんのオススメ本は、宮下奈都さんがエッセイを初めてまとめた著作『はじめからその話をすればよかった』(実業之日本社)。小説も大好きだが、このエッセイ・掌編小説集を読んでますます好きになったという佐伯さん。何か特別な事件が起こるわけではない日常に心が動く、宮下さんの小説同様にドラマチックな作品で、丁寧で上品なお人柄が伝わってくる。大の宮下ファンである筆者も激しく同意。以下、「宮下先生、素敵ですよね」と、すっかりファン同士の会話でした。実は佐伯さんに初めてお会いしたのは、ちょうど一年前、宮下さんの『終わらない歌』(実業之日本社)の刊行記念の日だった。エッセイの一編に、そのサイン会の様子が描かれていて、少し胸が熱くなった。
有隣堂厚木店
所在地 神奈川県厚木市中町2-6 三成ほていやビル
営業時間 平日 10:00~21:00 日・祝10:00~20:30
※12/31(火) 10:00~19:00
URL www.yurindo.co.jp/store/honatsugi
小寺 律 (こでら りつ)
本と本屋さんと、お茶とお菓子(時々手作り)を愛する東京在住の会社員。天気がいい週末には自転車で本屋さん巡りをするのが趣味といえば趣味。読書は雑読派、好きな作家は、小川洋子さん、宮下奈都さん。
Column
週末の旅は本屋さん
新幹線や飛行機に乗らなくても、いとも簡単に未知のワンダーランドへと飛んでいける場所がある。それは書店。そこでは、素晴らしい知的興奮に満ちた体験があなたを待つ。さすらいの書店マニア・小寺律さんが、百花繚乱の個性を放つ注目の本屋さんへとナビゲートします!
2013.12.14(土)