湘南、平塚は、瀟洒な住宅街が広がる静かな町だった。

 駅から約1km、クロマツの防風林が北風をさえぎり、テトラポッドが太平洋からの波を守る、相模湾に面した砂浜を穏やかな波が洗っていた。ほとんど人がいない静かな浜に腰をおろし、駅からの道すがらパン屋さんで購入した焼きたてパンと缶コーヒーで昼食にする。幸いさほど寒くないし、半日ぼーっとしていても、波打ち際をずーっと歩いていってもよいのだが(青春です)、今日は取材だ。約束の時間までには駅まで戻って、本屋さんにうかがわねば。

相模湾、人のいない冬の海。取材日は風もなく穏やかだった

 サクラ書店は、神奈川県平塚市の地元の本屋さん、今日うかがうのは平塚駅ビルの5階に出店する平塚ラスカ店だ。ユニークな店頭広告(POP)をいろいろ展開していて、面白いお店ということで気になっていたのだが、伝手を頼ってサクラ書店工作部(!)の田中郷美さんを紹介していただいた。土地柄から昼間は悠々自適の方々で、駅から直結する立地のためアフター6は通勤通学客でにぎわう。

サクラ書店平塚ラスカ店は、平塚駅直結の駅ビルに出店、会社やお出かけ帰りについ立ち寄ってしまいそう
東川篤哉さんの『ライオンの棲む街 ~平塚おんな探偵の事件簿1~』は、平塚を舞台にした新シリーズ。さすがご当地、2013年8月発売だけどまだまだ売れている

 特定の棚やジャンルではなく、お客さんからの問合せや店頭に在庫のない本のお取り寄せを担当する田中さん。昼間の問合せは新聞広告や読書面の切り抜きを持ってこられるシニアの方が、夕方以降は電車の車内吊り広告やテレビなどで取り上げられた本を求める会社員が多いという。小説やビジネス書、健康本など、あらゆるジャンルの問合せがあるので、店内の巡回で全部の売り場を頭に入れておくことと、毎朝の新聞チェックは欠かせない。タイトルや著者名がはっきりしない問合せも多いが、何かヒントがあれば、検索機を駆使したり、お客さんと一緒に棚を探したりしながら、だいたいは探せる。お客さんから、「今朝の情報番組で紹介されていた本」などと、教えられることも多い。

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2013.12.28(土)