時間を忘れて過ごしてしまう“何か”があるお店

 週末、中央線の小さな旅、出発点も帰り着くところも新宿。

 筆者にとっては、実家から近かったこともあって、新宿は懐かしい街、基点となる街だ。紀伊國屋書店新宿本店、ブックファースト新宿店、三省堂書店新宿店……、本屋さんがたくさんあって目移りしてしまう。中でも、紀伊國屋書店新宿南店は、一日過ごせる大好きなお店だ。

 紀伊國屋書店新宿南店(親しみを込めてキノミナさんと呼ぶ)は、新宿と代々木の中間、新宿駅南口から髙島屋を抜けた先にある。駅からはちょっと距離があるので、何かのついでにというよりも、「今日はキノミナさんに行くんだ」というワクワクのある特別なお店だ。

髙島屋直結のビル全部が紀伊國屋書店。桟橋から舟に乗るような感覚で

 キノミナさんに行くと、気が付くと1時間、2時間が経っている。広くてゆったり過ごせて、品揃えが豊富なだけじゃない。一日でも時間を忘れて過ごすことができるのはなぜだろう。

 個性的な書店はそれはそれで楽しい。コミックスやラノベの強い書泉ブックマート、本の街神保町らしい東京堂書店神田神保町店、音楽関係の本が揃っているブックユニオン新宿、演劇関係の本が充実した山下書店東銀座店、そんな「個性的な」本屋さんのワクワクと、キノミナさんに行くときのワクワクはちょっと違う。特定の何かを期待して行くのではなく、広大な本の世界に触れに行く感じかもしれない。キノミナさんに来ると、今、どんな本が読まれているのか、何が注目されているのかがわかる、本の世界を概観できるのだ。

3階正面入口、新宿南店のランキング、新聞雑誌の書評本が並ぶ。日曜日の朝、担当者が新聞各紙をチェックして、売り場から集めてくる

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2013.10.19(土)