二枚目なようで実は2.5枚目なドーマス
――江口さんが演じるドーマスはボッジの剣術指南役で、四天王と呼ばれる凄腕の重臣のひとりです。ドーマスの魅力をどんなところに感じていますか。
とても実直なところですね。猪突猛進すぎるところもあるんですけど、なんだかんだでまっすぐなやつだなと思います。彼なりに努力してきたからこそ、四天王というポジションにつくことができたんでしょうし。危ういぐらいのまっすぐさを持ち、努力の天才でもある。そういうところがいいなと思いますね。
ドーマスって普通に見ると二枚目キャラなんですけど、やっていることは2.5枚目。かっこいい部分とそうじゃない部分を持ち合わせていることは台本からも読み取れるので、そこは意識していました。でも僕としてはあまり気負わずに演じられるキャラクターかもしれないですね。
――ドーマスについては、前作とくらべてどんな変化や成長を感じますか?
前作を通してどのキャラクターも成長したと思います。ドーマスには彼なりの正義みたいなものがあって、前作では暴走しがちなところもあったんですが、彼にも守りたいと思うものができた。これからは正しさを履き違えないようにしようという強さも生まれたと思います。ただドーマスはどんどん涙もろくなっているなぁと(笑)。本来持っていた部分があらわになってきているんでしょうね。個性バラバラの四天王が再び力を合わせるシーンがあるんですが、そこはコメディータッチでありながらも四天王のかっこいい部分が出ているんじゃないかなと思います。
――江口さんとドーマスで似ているところ、逆にここは真似できないと思うところはありますか。
僕は彼ほどの努力はできないですね。というよりも努力の方向性が違うなと感じるので、肉体派の彼の努力はやっぱりすごいなと思います。僕は怠惰だし、怠惰なりにどうやって生きていくかを考えている人間なので(笑)。それぐらい正反対なタイプだからこそ、演じるときに特徴をつかみやすい。だから挑めたんだろうなとも思いますね。似ている部分は……声ぐらいかな(笑)。
人間の愚かさや醜さを描いている作品
――ちなみに、ドーマス以外で好きなキャラクターというと?
たくさんいるんですけど、ボッジの才能を見抜き導いた師であるデスパーさんは好きですね。見た目ヘンテコなんですけど、櫻井孝宏(声優)さんの色付けも最高で、すごく癖になるキャラクター(笑)。マンガで読んでいたときよりもさらにかっこよく見えました。お金に目がなかったりと欲望に忠実なデスパーさんではありますが、決めたことはやり通すブレなさがある。あの芯の強さはかっこいいなと思いますね。
――3月に行われた「王様ランキング Special event~Summer Festival~」ではたくさんのファンの方とお会いできましたね。
昨年予定していたイベントが直前に中止になってしまったのですが、それを改めて実行できました。あれからずっとお待ちくださった熱烈なファンの方たちと同じ時間を共有できてすごくうれしかったですね。そこで初めて主題歌を使用した「王様ランキング 勇気の宝箱」のPVを解禁したのですが、ファンのみなさんに最初に見ていただけたのもよかったなぁと思いましたし。フィナーレではなく始まりなので、これから続いていくという空気感もよかったです。
アフレコ現場は分散で収録しているので、同じシーンで掛け合いのある方とはスタジオでご一緒することもあるんですが、全然会えない方もいるんです。なのでこうしてイベントでキャストのみなさんと一同に集まることができて、なんだか新鮮な気持ちになりました。
――「王様ランキング」がこれだけ多くの人に愛されるのはなぜだと思いますか。
この作品は一見、絵本の世界のような可愛い絵柄で進んでいきますが、人間の愚かさや醜さがストレートに描かれていると思うんです。でもそれをリアルな描写でやるとつらすぎる(笑)。この絵柄だからこそ見られるし、受け入れられる。そしていろんなことを考えるようになるんでしょうね。
2023.05.03(水)
文=大曲智子
写真=鈴木七絵