撮影初日がキスシーンの撮影。さすがにちょっと緊張しました。

――初の本格的な恋愛ドラマ、しかも不倫役と経験のない役柄だったと思いますが、どういうところが大変でしたか。

 実は、撮影初日がキスシーンだったんですよ。あまり緊張とかしないタイプなのですが、さすがにちょっと緊張しましたね(笑)。

 本格的なキスシーンなんてはじめてなので、どういうふうにキスをすればいいかもわからないし、練習するわけにもいかないし。「激しく求めあう」って書いていたのでフレンチじゃないんだなというのはわかりましたけど、戸惑いました。何秒間、こうしてキスしてください、って具体的に指示があったらどんなに楽だったか(笑)。

――恋愛ドラマということもあり、恋する女性の振る舞いを自然にするということが求められていたと思います。演じる上で意識した部分とかはありましたか。

 事前にこういうふうに振る舞おうとか意図的にした部分はなかったのですが、役を演じている中で自然と恋愛感情のようなものは芽生えていましたね。

 自分でも気づいたときにハッとしたんですが、同じ空間に稲森さんと吉沢さんと私がいる、というようなシーンがあるんですね。夫婦で仲良く話しているのを私は見ているのですが、その時は、素で「ヤだな」って感じていました。現場でも吉沢さんが楽しそうにおしゃべりされてるのを目で追いかけてしまっていたり、理央としてそこに存在しているので、自然と理央の気持ちになっているのかもしれません。

――役として不倫をする女性を疑似経験したわけですね。

 稲森さんと一緒にいる場面では強気で「あなた気づいてないよね、彼は私のこと好きなのよ」っていられるけど、二人っきりのシーンでは、この後彼は奥さんのところに帰ってしまうと思うと切なくなったり。すごく複雑でしたね。

 私自身は不倫はできないなって思いました。帰らないでって言っているのに帰るとか耐えられない。電話かけても出ないとか、会いたいときに会えないとか無理ですね。

2023.04.14(金)
文=CREA編集部
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=高橋 亮
スタイリスト=大平みゆき