俳優、実業家として、さまざまな場で活躍しているMEGUMIさん。最新出演作は映画『零落』。浅野いにおの同名漫画を竹中直人が映画化した。

 若者に熱狂的に支持された人気漫画家・深澤 薫(斎藤 工)は、ある時期から新作が描けなくなってしまう。周囲の人を拒絶し、抜け出せない長いトンネル。表現者の深い孤独と苦悩を描いた、美しい映画だ。

 MEGUMIさんは、創作と現実の間で板挟みになる深澤の妻・のぞみを演じている。

 本作について、幅広い活動について、じっくり語ってもらった。


「私、お金集めます!」

――今回、MEGUMIさんは映画『零落』の出演だけでなく、プロデュースもなさっています。どういう経緯で関わることになったのですか?

 コロナ禍の最初の緊急事態宣言のときに、世の中が変わっていくのを感じたんですね。基本的に俳優やタレント業は受け身のお仕事。作品に呼ばれないと始まりません。ですが、これからは自分から発信する仕事をプラスしていかないといけないんじゃないかと思ったんです。それで、知り合いの役者や脚本家の方と一緒にリモートでオリジナルドラマを作りました。そのときにゼロからものを作って世の中に発信するって、こんなに幸せで楽しいことなんだ! と思ったんです。

――プロデュースの面白さを体感なさった?

 はい。その約1年後に竹中直人さんとドラマでご一緒して、バーで飲んでいたときに、竹中さんが、『零落』という漫画に惚れ込み映画化したいという想いを熱く語ってくださった。あのレジェンドの竹中さんがそこまで……とものすごく感動しちゃって、「私、お金集めます!」と言っちゃったんですよ。完全に酔った勢いで(笑)。

――酔った勢いだったんですか(笑)。MEGUMIさんは昨年、ドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』を企画・プロデュースされましたが、それよりも前ですか?

 全然前です。それから、ファントムフィルム(現・ハピネットファントム・スタジオ)さんほか、いろんな方が参加してくださいました。竹中さんがすべて引っ張っていってくださいましたが、プロデューサー参加としては、私の初の長編映画になるので、感慨深いですね。

――物語に対してはどんな感想を持たれましたか?

 男性って、若いときに思い描いた大人と現実の自分とのギャップに、深く傷つく生き物なんだなと思いました。女性は挫折を繰り返しながらも、現実を引き受けて、前に進もうとします。ある年齢を超えると、女性は太く強くなっていくのに対して、男性は繊細になっていく。どこのカップルやご夫婦を見てもそう思うので、世の中の縮図なんでしょうね。

2023.03.16(木)
文=黒瀬朋子
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=エノモトマサノリ
スタイリスト=大浜瑛里那