いろんな球を投げ続けて、切磋琢磨していく人生に
――金沢でカフェをオープンするのに、気に入った物件を貸してもらうために何度も通ったという記事を読みました。その成功体験があるから、信じたものを実現させるためだったら、思いは必ず伝わるという確信をお持ちなのではないでしょうか。
お店にしてもドラマや映画にしても、自分の利益だけを考えてやっているわけでは全くないんですよね。カフェは、金沢は素敵な街なので、東京で疲れている知人たちが来て休める場所があったらいいなという想いから始めました。当時、金沢にパンケーキショップはなかったので、双方にとっていいはずと思ったんです。そして、エンターテインメントは人の支えになります。大儲けしようとか、変なスケベ根性がないぶん、自分でも頑張れるのかもしれないですね。
――MEGUMIさんが、そんなふうにさまざまな活動をなさることで、若い人たちも勇気づけられて、可能性を広げられるかもしれませんね。
本当にそうだといいなと思います。
日本は、大人の映画が少ないんですよね。『零落』のような大人のための作品を誰かが作らないと、この先なくなっていってしまう。去年、海外の映画祭を数々回ったのですが、日本の映画業界はもっと頑張らないと、と実感しました。その現実は受け止めないといけない。いまは配信もありますし、日本の作品を海外にガンガン届けていきたいというのは強く強く思っていますね。
――幅広い活動のエネルギー源になっていることは何ですか?
好奇心ですかね。いろんな人と会って、「へえー」と思うと自分もやりたくなっちゃう。YouTubeで素敵な先輩方のインタビューを見て、私も頑張らなきゃと思ったり。触発されやすいんだと思います。
いまは医療も発達して、NMNみたいなサプリもあったりして、95歳くらいまで生きそうな気がするんです(笑)。50代になったら、あとはゆっくりと思っても、その先が半分近くある。だから、意外と頑張らなきゃいけないと思います。いろんな球を投げ続けて、切磋琢磨していくほうが、楽しく生きていけるんじゃないかなと思いますね。
プロデュース業はこれからもバリバリやります。たくさんの作品を絶賛準備しています!
MEGUMI(めぐみ)
1981年生まれ、岡山県出身。2001年、デビュー。最近の主な出演映画に『孤狼の血』(18年)、『台風家族』(19年)、『ひとよ』(19年)、『事故物件 恐い間取り』(20年)、『大怪獣のあとしまつ』(22年)、『極主夫道 ザ・シネマ』(22年)、『赦し』(23年)など。ドラマ『大奥』(23年 NHK)など。『台風家族』『ひとよ』で第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。昨年はドラマ「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」を企画・プロデュースした。
映画『零落』
原作:浅野いにお『零落』(小学館ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人
脚本:倉持 裕
出演:斎藤 工、趣里、MEGUMI、山下リオ、土佐和成、永積 崇、信江 勇、宮﨑香蓮、玉城ティナ/安達祐実
製作幹事・配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ
2023年3月17日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
©️2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
https://happinet-phantom.com/reiraku/
2023.03.16(木)
文=黒瀬朋子
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=エノモトマサノリ
スタイリスト=大浜瑛里那