素材と製法にこだわったカスタールのラグ

 素材は、ニュージーランドの羊毛と、ノルマンディの麻(リネン)が中心。

 ニュージーランドの羊毛は「特有の白さをもつうえ、染料を適度に吸収する特性があり、発色がいい最高品質」と謳われます。

 ノルマンディのリネンは「太陽の光や雨など自然の力で取り出した繊維で作られており、農薬や肥料などの化学薬品を一切使用しない」のが特徴といいます。

 カスタールが手がけるのは、織物の歴史においてもっとも古典的な製法という「ウーブンラグ」。デザインはクラシックなものと、現代的なものと、ともに選べるようになっています。

「デザインのパターンは、スウェーデンの四季からインスパイアされたものも少なくありません」

 ジセボルン氏はそう説明してくれました。

 美しい柄なのでやや気後れしつつ、試しに1枚のラグに足を載せてみると、土の上のような、独特の気持ちよさを感じられます。

「ウールのラグは本当に持ちがよくて、同じところに家具を置くのでなく、ときどき少しずつ回転させながら使うのもコツ」

 ジセボルン氏は言います。

「私は、カスタールのラグは育てていくものだって思っています。そもそも耐久性は高いですが、さらにケアすることで経年変化の味が出てきます。赤ちゃんみたいなものなんですよ」

 といっても、カスタールのラグは安い買い物ではありません。ここで述べてきたように、いい素材を使い、ていねいに作っているからです。

「いいラグのよさを、若いひとたちが理解してくれてきています。一種の投資として、カスタールを購入するひとたちもいます。時代がめぐってきていると感じます」

カスタール(日本総代理店 EMC株式会社)

https://www.kasthall.jp/

2023.03.05(日)
文=小川フミオ