
多くの人が一度は行ってみたいと口にする北欧諸国。その中でも最大の人口を誇り、「北欧のヴェネツィア」とも称されるスウェーデンのストックホルムには訪れるべきスポットが数多くあります。
ライフスタイルジャーナリストとして活躍し、世界中を旅した小川フミオさんが、北欧の魅力をご紹介します。
》北欧デザインを体現、遊び心に満ちたスタイリッシュなブティックホテル、ストックホルムの「ノビスホテル」
》アートのような唯一無二のうつくしさ。いまのスウェーデンでもっとも人気のリリエンクランツのファーニチャー
ラグはファッションに例えると靴のようなもの

照明、壁紙、じゅうたん……すてきだと知っていても、使いこなしかたがいまひとつわからない。なので、欧州にいくと私は、どうやって部屋を装飾しているのだろう、といつも眺めまわしてしまいます。
たとえば、私がストックホルムで出合ったカーペット「カスタール」。1889年からラグを作り続けています。
「ラグはファッションにたとえると靴のようなもの」。カスタールのホームページには、どきっとするような言葉がかかげられています。
ラグってカーペットとちがうの? という疑問もあるかもしれません。
ラグは床に部分的に敷く敷物のことです。日本では一般的に、3畳程度の小さなサイズのものを指すことが多いようです。
使いかたとしては、季節や気分。来客に合わせたりしているようです。収納庫(日本だと押し入れでしょうか)に何本も入れておいて、これというのを出すのです。

かつてモロッコにいったとき、私は現地のラグ専門店で買い物をしたことがあります。
専門店に何時間もいすわって、モロッカンティーのもてなしを受けながら、何枚か買いました。なにしろストックは数千枚。選ぶのはなんとも楽しい作業でした。
自分が欲しいパターンとか、部屋に合う色を意識して選ぶのがコツのようです。前者だけに意識が集中すると、日本の住宅に合わない、なんてことになりかねません。
その点、カスタールのラグは、日本にも代理店があるぐらいで、「日本の住宅に合ったものが多く見つかると思いますよ」とはストックホルム市内の直営店のスタッフの言。
スウェーデンでは、高級レストランやショップ、それにプレミアムクラスのホテルでも愛用されています。
2023.03.05(日)
文=小川フミオ