多くの人が一度は行ってみたいと口にする北欧諸国。その中でも最大の人口を誇り、「北欧のヴェネツィア」とも称されるスウェーデンのストックホルムには訪れるべきスポットが数多くあります。
ライフスタイルジャーナリストとして活躍し、世界中を旅した小川フミオさんが、北欧の魅力を体現するかのような魅惑のスポットをご紹介。今回は歴史とモダンが融合した美しいデザインで人気の「ノビスホテル(Nobis Hotel Stockholm)」です。
ストックホルムの中心地にあるブティックホテル
旅の思い出をつくってくれるもの。ひととの出合い、風景、地元の食べ物……いろいろ思いつきます。旅先のホテルもとても重要です。
ストックホルムに行く機会があれば、一度は訪れてみてもいいのでは、と思うのがノビスホテル。
場所は、ノルマルムストーリ(Norrmalmstorg[トーリはスウェーデン語で広場の意])というストックホルムの中心地。
私は仕事で過去に何度もストックホルムに出かけていますが、だいたいクラシックなホテル泊で、ノビスホテルのようなブティックホテル系はめずらしい体験でした。
元々銀行だった建物をホテルに改装。日本でも人気のスウェーデン発ファッションブランド「アクネ」のショップが1階に入っています。
思わず旅情に浸ってしまう、調和に満ちた空間
あえて小さく作った(はずの)ドアを通り内部に入ると、広々としたレセプション。天体のような巨大な球形の照明群が目に飛び込んできます。
ただし、ひとを圧倒しようということではないようです。北欧的というか、イエロー系の温かみのある照明ゆえでしょうか、レセプションに入ると、気持ちがすっと落ち着くかんじです。
「デザインと色調と調度品が調和を見せているのが、設計を担当したクラーソン・コイビスト・ルーネ(Claesson Koivisto Rune)事務所の意図したことです」
ホテルでコンシェルジェを務めるジェームズ・イップ(James Yip)氏は、インタビューに応えてそう教えてくれました。
きれいな螺旋を描く階段を活かしていることも、ホテルの特徴です。壁と階段が白色、窓枠と階段の手すりは黒色。対照的です。
私が出かけたときは秋の終わりだったので、午後早い時間には沈みかけた太陽光が窓の外を淡いブルーに染めていました。
階段に腰かけて、ぼんやりしているだけで”ここは日本じゃないんだ、北欧なんだな”なんて、旅情に浸ってしまうほどです。
2023.01.21(土)
文=小川フミオ