多くの人が一度は行ってみたいと口をそろえる北欧諸国。その中でも最大の人口を誇り、「北欧のヴェネツィア」とも称されるスウェーデンのストックホルムには訪れるべきスポットが数多くあります。

 ライフスタイルジャーナリストとして活躍し、世界中を旅した小川フミオさんが、北欧の魅力を体現するかのような魅惑のスポットをご紹介。

田園の美しさ、自然の美しさを楽しめる「ローセンダール・ガーデン」

 ストックホルムは、街の美しさや建築物が話題になりますが、田園の美しさも、おおきな魅力です。

 ここで紹介するのは、5,000ヘクタールの広大な自然が楽しめる「ローセンダール・ガーデン」。

 ストックホルムは14の島をもち、そのうちひとつが、世界初の国立都市公園であるユールゴーデン島。そこにローセンダール・ガーデンはあります。

 島といっても、ちょっとした運河ぐらい陸地と陸地が近接。市内から20分ほど、街の中心地から歩いてもいける距離にあるユールゴーデン島には動物園や遊園地、それに「ダンシングクイーン」の大ヒットで有名なあのABBAミュージアムもあります。

 ローセンダール・ガーデンは喧噪とは無縁。足を踏み入れると、静謐な世界がひろがります。

 そもそも19世紀に王室が作った庭園です。温室で熱帯の植物が観られるなど、きびしいストックホルムの冬のあいだも、楽しみを提供してくれる場所でありつづけてきたそうです。

 ここを紹介してくれたのは、スウェーデンの自動車会社ボルボで、カラー&マテリアル部門のシニアデザインマネージャーを務めるセシリア・スターク氏。スターク氏は「ここに来ると、サステナビリティやリサイクルの大事さを感じます」と、のローセンダール・ガーデンの存在の重さについて語ってくれました。

 ボルボはいま脱化石燃料化を進めているうえに、自動車の製造工場でも、温室効果ガスを発生しないクライメートニュートラルを進めるなど、サステナビリティ(地球環境の維持)に熱心です。なるほど、と思いました。

 ローセンダール・ガーデンは、19世紀初頭に王室が開発した庭園。当初は温室を設けて熱帯植物を育てたりしていたようですが、やがて、リンゴなどの果樹を栽培して、苗木をスウェーデン中に配るなど、農業試験場のような働きもしていたそうです。

 その後、1982年にRosendals Trädgårdなる信託基金が設立され、この庭園を運営。有機農業の実験場的な色彩が濃くなりました。利益は、完全有機で育てた野菜や、ここで育てたブドウによるビオワイン、またパン(美味!)などの販売から得ています。

 私が出かけたときは、農業実習にやってきた子どもたちが楽しそうに農作業をしていました。「教育も重要な仕事です」。CEOのティンティン・ヤルスリッド氏はそう説明してくれました。

2022.12.21(水)
文・写真=小川フミオ