シンプルながらここちよい部屋が宿泊客を歓待
もうひとつ、このホテルならではの特徴が、部屋に入るとわかります。窓の外から建物の中庭が見えて、それも美しいのです。
中庭といっても、ガラスがはまった天井があります。最近のストックホルムは、ガラスの天井でもって、太陽光を採光するのがひとつのトレンドと聞きました。
中庭には4面が面しています。それを景色としてデザイン。中世の城壁のようでいて、真っ白な塗装というモダニズムのおもしろさがいいかんじです。
部屋はちょっとスペースが限られています。「銀行の建物をベースにしたので、しようがなかったんです」と前出のイップ氏は、申し訳なさそうに言います。
広い部屋が必要なひとのためには、2つの部屋をつなげて1つにする、コネクテッドルームが選べるようになっていました。
白を基調とした開放的なレセプション
部屋から出てレセプションで読書やネットサーフィンをするのも、ホテルでの楽しい過ごしかたです。
どんなひとがこのホテルを使っているのだろう。まるで作家のような観察の眼でチェックインやチェックアウトするゲストを追うのは、どの国に行っても楽しいことです。
「ストックホルムは2010年代まではホテルラッシュというぐらい、新しいホテルが建ちました。でもコロナ禍で廃業するところも多くて寂しいことです」
イップ氏の言うとおりだとしても、その厳しい時を乗り超えたノビスホテルは、やはり、顧客に訴求力があるのでしょう。
2023.01.21(土)
文=小川フミオ