多くの人が一度は行ってみたいと口にする北欧諸国。その中でも最大の人口を誇り、「北欧のヴェネツィア」とも称されるスウェーデンのストックホルムには訪れるべきスポットが数多くあります。

 ライフスタイルジャーナリストとして活躍し、世界中を旅した小川フミオさんが、北欧の魅力をご紹介します。

北欧デザインを体現、遊び心に満ちたスタイリッシュなブティックホテル、ストックホルムの「ノビスホテル」


いまのスウェーデンでもっとも人気のリリエンクランツ氏の家具

 私たちにとってもっとも身近な北欧製品のひとつは、家具でしょう。シンプルだけど有機的、つまり温かみを感じさせるかたちで、存在感があって安っぽくありません。

「いまのスウェーデンでもっとも人気があり入手困難な家具をつくる、すばらしい人」

 クルマ好きにとって人気あるスウェーデン製品、ボルボのデザイナーを務めるセシリア・スターク氏が紹介してくれたのは、ストックホルムの家具デザイナー、ルイゼ・リリエンクランツ氏。

 自然にあるものをモチーフに形作られているリリエンクランツ氏の家具は、いい素材を使い、たしかな職人の技術で仕上げられています。

 ムーミントロル(フィンランドですけど)を思わせるマシュマロのようなふかふかとした感じのソファシリーズは、リリエンクランツ氏率いるLiljencrantz Designを有名にしたもの。

 いっぽう、今回ストックホルム市内で、リリエンクランツ氏の工房から送り出された、ほとんど一品もののテーブルなど見ました。こちらは、重厚さと軽妙さがうまくバランスされています。

 夜空にカーテンのように現れるオーロラの形状を連想させる「スタリオン」なるコンソールテーブルもそのなかのひとつ。

 表面が美しく波うつようにカーブをつけられています。それによって見る角度によって、光の反射で表情が変わります。

 驚いたのは、重量です。1本のマホガニーウッドから彫りだしたような重さなのです。

 ひとりで抱えられると思っていたのが、おとなが2人、よいしょと声かけあいながら運ばなくてはいけないほどの重さです。

 ほかの製品もみな同じ。見た目は軽やか。でも、質感の高さは特筆ものです。

2023.02.05(日)
文・撮影=小川フミオ