人生と寄り添う、上質なリリエンクランツの家具

 けっして安い買い物ではないようです。ウェブで価格を検索すると、3万ポンド(480万円)などと出てきます。

 スウェーデン家具というと、買いやすい製品を連想しがちですが、リリエンクランツ氏の家具は、対照的。クルマ1台買える価格に見合う価値を認めてもらえているわけです。

 ストックホルムでは、インテリアショップではなく、アートギャラリーで展示されていたのにも納得しました。

 2023年にはニューヨークシティのトライベッカに、リリエンクランツ氏の家具のギャラリーがオープンするとのこと。

「若い人もいまは、家具は消費材だと思っていません。クオリティの高い家具を手に入れるのは、一種の投資だと考えています」

 ストックホルムのギャラリーオーナーの言葉です。

「ボルボでも、木の審美性の高さに注目しています。インテリアデザイナーは、木は成型しにくい、と合成樹脂を使いたがりますが、私は木こそ、本当に価値を伝えられるものと思っています」

 リリエンクランツ氏の家具のファンという、ボルボのセシリア・スターク氏は、木のよさについて熱く語ります。

 木製家具の魅力は、見た目のバラエティの豊かさにはじまり、感触、それに質感など、多岐にわたります。

 「日本の家具づくりもとても参考になります」。リリエンクランツ氏はそう教えてくれました。意外なところでつながる彼我のモノづくり。

 ストックホルムに出かける機会があれば、ぜひリリエンクランツ氏の家具に触ってみてください。心が豊かになる気がします。

LILJENCRANTZ DESIGN

所在地 Brahegatan 26,114 37 Stockholm
https://liljencrantzdesign.com/

2023.02.05(日)
文・撮影=小川フミオ