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小さな家を建てる。イメージはすぐに付いた

 小さな家を建てる。イメージはすぐに付いた。2階建てにして、目の前の景色を全部きれいに切り取っておきたいから、西側に大きな窓を作り、ピンクのカーテンをかけよう。キッチンにはカウンターを造作し、仕事や食事はそこで。2階はベッドルームにシャワーと洗面台、洗濯機も。カーポートは屋根を付けると、雨や雪の日も濡れずにすむ。

 間取りも動線も、できるだけシンプルに。あまり迷うことなく、感覚でポンポンと決めていた。また「不動産の仕事にも役に立つな」なんて思いながら。

 そうして完成した時、あまりにもイメージ通りでびっくりした。違和感がまったくもってなかった。

 ソファに座りながら窓の外を眺めていると、カナダで暮らしていた時のことをよく思い出す。まっすぐの高い木がたくさんあって、夏は緑に、冬は雪で白に覆われる。ここに大きなクリスマスツリーを飾ると、まんまカナダになった。

「鉛筆の小屋」

家族構成/単身
地形  /平坦地
敷地面積/352.32㎡
延床面積/68.73㎡

morinoie(モリノイエ)

東京・軽井沢を拠点とするデザイン事務所「Now and Then」と建築事務所「クレア」 による建築ブランド。1994年クレア設立。軽井沢・八ヶ岳を中心に、これまでのべ300を 超える別荘・住宅を手掛ける。2018年にクレア代表五十嵐さとしと、建築デザイナー 福岡みほ共同主宰の事務所「Now and Then」を設立。

軽井沢 はじまりの森暮らし。

定価 4,400円(税込)
文藝春秋
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次の話を読む「東京のマンションを手放そう」 森の中にかけがえのない 終の棲家をみつけた夫婦

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2023.02.10(金)
文=山村光春(BOOKLUCK)
撮影=松村隆史