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 発売中の『CREA』冬号で特集している「ベストコスメ2022」、そのプレリュードとして、美容ジャーナリストの齋藤薫さんがセレクトした100の名品を披露。

 毎年、最先端テクノロジーを駆使した新製品が続々発売される一方で、愛され続ける定番&ロングセラーの名品があります。その名品たる理由を齋藤薫さんが語ります。

新製品至上時代だからこそ、新製品を外すと見えるもの

 100は大きな数字に思えるけれど、この広いコスメ界で100品を選び出すのは、容易なことではない。毎年の新製品だけで1000点を超えるような市場、それどころか化粧品会社は日本だけで4000社以上あるとされ、今一体どれだけの化粧品が売られているのか、見当もつかないほど。そんな中のわずか100品なのだから。

 ちなみに今回のリストアップは、2022年の新製品を基本的に除いている。新製品を入れれば、その顔ぶれはすっかり変わってくるはずで、それぐらい新製品を優先したくなる新陳代謝の激しい分野であるのは確か。

 ただその一方で、化粧品の新作は2カ月で売れなくなる、との説もある。新しいものほど良いというイメージは根強く、だから“新製品しか売れない”という状況がありつつも、新製品なればこそ、鮮度が落ちていくほどに魅力を失うわけで、翌年にはもう忘れられているケースもあるくらい。

 だから逆に長い目で見れば、新製品抜きであるがゆえ、ブレのない名品リストになってくるとも言える。ロングセラーはもちろんのこと、既存品として光を放つものは、たくさんのフィルターをくぐり抜けてきた、相当に魅力ある製品たちだと考えてみてほしい。

2022.12.16(金)
文=齋藤薫
Photographs=Hirofumi Kamaya

CREA 2023年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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