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シェイクスピア作品の魅力は「知らない自分」に出会えるということ

――吉田さんは10代の頃からシェイクスピア作品に携わっています。シェイクスピア作品の持つ「ならでは」の魅力をどう感じていますか?

 シェイクスピアを演じる時にいつも思うことが「こんな自分がいたんだ」ということです。自分がそれまでに感じたことがない感覚や感情、自分がそれまでに出したことがない声や表情がシェイクスピアをやっていると新しく発見できる。

 ほかの芝居では、意外とそうならない。たぶん、それは日常の自分をベースに、その芝居を演じていることが多いからだと思うんです。だけど、シェイクスピアは違う。

 それは僕だけじゃないんですよね。シェイクスピアに登場する俳優たちが、自分が思ってもみなかった感情や場所に行きついている。これまでに見たことのない表情や声の俳優に出会えるということなんです。

 誰も見たことのない吉田鋼太郎が、誰も見たことのない小栗 旬がそこでは躍動しているわけです。もし日常というところから逃避するために芝居を観たいのであれば、シェイクスピアほど最適なものはないんじゃないかなと、僕は思います。

――観る側からしたら、人間存在として普段触れることのない一面を垣間見ることができるということでしょうか?

 もちろん、そうです。観たことのない俳優の姿、人間としてのありように触れることで、自分の中に実は潜んでいた人間の本質に出会えるわけです。シェイクスピア作品が本質を描くことで、俳優も観客も予想もしなかったことが生まれてくる。そういう世界を観ることができるのが、シェイクスピアの魅力かなと思います。

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舞台『ジョン王』

小栗 旬 吉原光夫(東京公演)
中村京蔵 玉置玲央 白石隼也 高橋 努 植本純米 櫻井章喜(埼玉・愛知・大阪公演)
間宮啓行 廣田高志 塚本幸男 飯田邦博 坪内 守 水口テツ 鈴木彰紀 堀 源起 阿部丈二 山本直寛 續木淳平 大西達之介 松本こうせい 酒井禅功/佐藤 凌(Wキャスト)
吉田鋼太郎

<東京公演>
日程:2022年12月26日(月)~2023年1月22日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
※東京公演は他都市の公演と出演者・配役が一部異なります。
※1月17日はリラックスパフォーマンス公演を予定。

<愛知公演>
日程:2023年1月26日(木)~29日(日)
会場:御園座
※東京公演とは出演者・配役が一部異なります。

<埼玉公演>
日程:2023年2月17日(金)〜24日(金)
会場:埼玉会館 大ホール
※東京公演とは出演者・配役が一部異なります。

<大阪公演>
日程:2023年2月3日(金)~12日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※東京公演とは出演者・配役が一部異なります。

https://horipro-stage.jp/stage/kingjohn2022/

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2022.12.19(月)
文=赤山恭子
写真=松本輝一
ヘアメイク=吉田美幸
スタイリスト=尾関寛子