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チョン・へインが絶賛した三池監督の凄さ

 これを受けてヘインは、「三池監督とご一緒して、国と言葉の壁はそれほど重要ではないと感じました。もちろん通訳さんが常にいらっしゃいましたが、監督とは主に目とボディ・ランゲージで通じ合えました。三池監督がその場面で僕に何を望んでいるのか、逆に僕が何を表現しようとしているのかを監督が察してくれるので十分でした」と真面目に答えた後、「ただ、三池監督はとてもウィットに富んだ方でたまに冗談を言うんですが、それは通訳していただかないと解らないので、時差がある。監督が僕の様子を窺っていて、すぐ反応できなかったのは申し訳なかったですし、物足りなかったですね」と笑わせた。

 さらに「三池監督とやって驚いたのは、頭の中に編集点がもうあって、必要じゃないカットは撮らないんです。集中するべきシーンに、すごく力を入れて撮る。アクション・シーンでは、監督が直接アクションをやって見せてくれたんですが、本当にアクションがうまいんですよ! 三池監督、ただ者ではない、と思いました(笑)。もちろん、僕ら俳優はその真似をするのではなく、そこからヒントをいただいて演じるんです」と三池監督を絶賛。

 一方、三池監督はヘインを「役者の中では本当に珍しいタイプだと思います」と評した。「チョン・ヘインという役者は、作品に対して非常に献身的。役者には、作品より自分がどう見えるかが大事な人もいますが、彼はまず作品を作ることが一番なんです。助手までを含めたスタッフに支えられ、共に作っているんだという感覚を持って、実践している。だからすごく優しい。彼がいると現場がほっとするし、よし、みんなで作っていこうという気持ちになるんです」と語ったが、そんな人柄の良さ、清潔さというのは、やはり育った環境にもよるのだろう。

2022.12.15(木)
文・撮影=石津文子