この記事の連載
- イギリスのカントリーサイドホテル #1
- イギリスのカントリーサイドホテル #2
- イギリスのカントリーサイドホテル #3
- イギリスのカントリーサイドホテル #4
終わりがない食や泊まることの楽しさと感動
例えば、ザ・ニュートでは合計45人もの専門知識を持つガーデナーが、観賞用庭園、ウッドランド、食用庭園、育苗担当の4チームにわかれて庭造りに従事している。
庭園の散策ルートをたどってみると、邸宅の建てられた頃から現在までの英国のガーデンデザインの変遷をなぞっていることに気づく。
スタート地点にあたる、壁に囲まれてきっちりと整えられたウォールド・ガーデンは、17世紀に主流だったバロック様式だ。
そこに植えられているのは、1690年から1935年まで英国各地で栽培されていた296品目各2本、合計600本近いリンゴの木。
ものによっては、英国内では絶滅してしまい、欧州大陸から取り寄せたものもある。さながら生きる植物図鑑のように、各地のプレートを掲げて並ぶリンゴの木の列には感動すら覚える。
もちろん、食や泊まることの楽しさも終わりがない。
ガーデナーが世話をする有機栽培の菜園からシェフ自らが収穫した野菜が、数時間後には調理され皿にのって配膳されるほか、牛肉やラム肉、ハチミツ、チーズなど敷地内で調達される食材は多い。
3軒いずれのレストランでも素材を生かした料理が特徴的だ。
客室はハドスペン・ハウスのほか、かつての高床式穀物倉庫や馬車用の車庫などを改装したユニークなコテージがあり、また別区画のファームヤードでも、スタイリッシュに生まれ変わった元脱穀小屋やチーズ貯蔵庫に泊まることができる。
最低2泊という宿泊条件だが、それでも去りがたい気持ちになることは必至だ。
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Somerset The Newt in Somerset(ザ・ニュート・イン・サマセット)
所在地 Bruton, Somerset BA7 7NG
電話番号 +44 1963 577777
客室数 40室
料金 1室2泊 1,040ポンド(朝食付き)~
https://thenewtinsomerset.com/
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2022.12.03(土)
文=安田和代(KRess Europe)
撮影=川上 真