“福” があるレトロな温泉街でのんびり
“ニッポン美肌県グランプリ” で、グランプリ受賞回数日本一の島根県。その美肌文化を支えているもののひとつが、県内各地に湧出する温泉。石見エリアにもたくさんの温泉地が点在し、地元の人々にこよなく愛されています。
◆有福温泉でレトロな風情を楽しむ
そのなかでも最近とくに注目を集めているのが、有福 (ありふく) 温泉。“福が有る”という、なんとも縁起のいい美肌スポットです。
のんびり散策しても、すぐにぐるりと見て回れる小さな温泉街。昔ながらの情緒を色濃く残しているのが魅力です。
この温泉街の名物といえば、3つの外湯。とくに “必浴” は、昭和5年に建てられたレトロな空間が素敵な「御前湯」。湧きたての新鮮な源泉で浴槽は満たされていて、湯温は43度とやや熱め。とろりとして肌にやさしくなじむ湯は、古くから美人湯として知られています。
◆最新カフェ&レストランでひと休み
レトロな風情の有福温泉ですが、新しいスポットも誕生しています。それが2021年秋にオープンした「石見食堂 有福BIANCO」。オープンテラスもある、おしゃれなカフェ&レストランです。
メニューはイタリアンがベース。地元漁港に揚がる新鮮魚介のほか、近隣の農家の旬野菜などを取り入れ、ワインも約60種を用意。
散策途中のひと休みはもちろん、地産の旨みをゆったりと味わえるディナーも格別です。
また、お店の向かい側には、姉妹店のワインショップ「グラン・ヴァン18区」が。
こちらでは、気になるワインをテイスティングして購入可能。注目の島根産ワインも常備していて、気軽にスタッフに相談しながら好みの一本に出会えます。
◆贅沢旅館で名湯と美食に満たされる
現在、5つの旅館・ホテル (うち2軒はリニューアルのため休業中) がある有福温泉。なかでも、自然を近くに感じながら心静かな時間を過ごせるのが「旅館ぬしや」。その由緒は270余年前にまでさかのぼる温泉旅館です。
客室はわずか9室ながら、一棟建て離れやスタリッシュな本館客室などそれぞれ趣が異なり、石見地方の古民家を移築した離れは、温泉露天風呂付き。鳥の声や木々のざわめきなど、自然の音に包まれて、日常をすっかり忘れることができます。
森を眺める大浴場も風情たっぷり。貸し切り風呂も用意しているので、心おきなく美人湯を堪能できます。
そして、滞在の大きな楽しみが、石見の美味を存分に味わい尽くせる夕食。
島根・浜田港に揚がる新鮮魚介をはじめ、しまね和牛、地元野菜、そして島根産コシヒカリまで、テーブルの上には、石見の旬がたっぷり。
また、豪快なスタイルで提供される名物「海鮮炭火会席」もおすすめです。
コースの主役は、大ぶりな伊勢海老、ふっくらとした鮑などの贅沢食材が特注の石州瓦の上にのっている「瓦宝楽焼」。石州瓦製の焜炉 (こんろ) の上で炭火焼きにするもので、あふれる旨みに誰もが感激……。
ここにしかない “口福” を、存分に堪能できます。
2022.11.17(木)
文=矢野詔次郎
写真=志水隆
協力=(公社)島根県観光連盟