世界遺産・石見銀山エリアも魅力いっぱい

 石見エリアを代表する観光スポットといえば、世界遺産・石見銀山。かつての栄華を伝える風情ある町での散策を楽しんだあとは、その周辺にあるとっておきの場所へ。

◆美しい風景のなかにたたずむ注目ワイナリー

 石見銀山から車で40分ほどの国立公園三瓶山 (さんべさん)。雄大な大自然のなかでワインづくりに挑戦しているのが「石見ワイナリー」です。

 4.7haの敷地でメルローやシャルドネに加え、「富士の夢 (メルローと山ぶどうの交配種)」など5種のぶどうを栽培し、石見ならではの一本を生み出すべく、日夜研究を重ねてきました。

 現在、三瓶のぶどうを使用したワインは、赤・白計8種をリリースしていますが、生産量が少ないことから、この醸造所を訪ねないと手に入らないレアなアイテムも。ワイン好きなら、一度は訪ねてみたい場所なのです。

 醸造所にはショップも併設されていて、テイスティングコーナーでは、8種の試飲も可能です。

 ショップで販売している、さまざまな島根産をおつまみに試飲できるのも楽しいところ。

 敷地内には、BBQなどを味わえる屋外型フードコート「石見の杜 星空のレストラン」があるほか、ワイナリーのすぐそばには、標高854メートルの大平山山頂近くまで約10分の空中散歩を楽しめる三瓶観光リフトも。アウトドアを満喫できるのも、このエリアの魅力です。

◆アワードにも輝く小さな町のチーズ工房

 石見ワイナリーでテイスティングのお供に味わった、もちもちとしてフレッシュなゴーダチーズ。それを作っている工房がワイナリーから車で50分ほどのところにあるというので、訪ねてみます。

 雄大な中国山地の山間部、広島との県境にも近い邑南町 (おおなんちょう) に2020年に誕生した「しまね おおなんチーズ工房」。

 一度は事業停止してしまった地元のチーズ工房を受け継いで、代表を務める石橋悦子さんが67歳で起業し、今ではこの地域の特産のひとつとして知られています。

 「うちのチーズに使うのは、同じ邑南町にある田中牧場の最高乳質のもの。しかも、その日の搾りたてでフレッシュなチーズを作っています」と石橋さん。

 チーズ好き、ワイン好きを魅了する地域の逸品は、工房から車ですぐの「道の駅 瑞穂」などでも購入できます。

◆まだまだあります、石見エリアのおすすめスポット

 ワインと美肌と福をテーマに巡る石見の旅。このほかにも、ちょっと立ち寄りたいスポットがあります。

 港町・浜田の市街から車で15分ほどの石見畳ヶ浦は、約1600万年前の地層が広がる幻想的な場所。干潮になると大小の奇岩が姿をあらわし、とくに夕暮れの光景は感動的です。

 そして、最後にご紹介するのは、旅の思い出におすすめの “福グッズ”。

 この地方に伝わる長浜人形の技法を受け継ぐ伝統工芸士の福美さんがひとつひとつ手作りしている招き猫は、とてもキュートで大人気。JR浜田駅1階にある「浜田市観光協会特産品販売所」、萩・石見空港のエアポートショップなどで購入できます。

 今回はご案内できませんでしたが、平安時代にまでその発祥を遡るという伝統芸能「石見神楽」、中世日本の傑作として日本遺産にもなっている雪舟庭園、そして山陰の小京都・津和野など、見どころ多彩な石見エリア。

 一度、旅すれば、その奥深さに魅せられて、きっとリピートしたくなるはず!

2022.11.17(木)
文=矢野詔次郎
写真=志水隆
協力=(公社)島根県観光連盟