この記事の連載

希望か災いかは受け取り手の判断次第

――タイトルである「エルピス —希望、あるいは災い—」は、ギリシャ神話のパンドラの箱(匣)に由来するものですね。この数年間は疫病や戦争など、本当にパンドラの箱を開けてしまったかのような現実が続いています。タイミングを思えばこそ、まさに言い得て妙だなと思いました。タイトルは前々から決められていたのでしょうか。

渡辺 タイトルも作品同様、いろいろと紆余曲折ありましたが、結果これに落ち着きました。「エルピス」という響きもいいじゃないですか。長澤まさみさんが主演だし。

――あぁ! たしかに、長澤さんはカルピスのCMに出られていますね! そこは気づきませんでした。あとに続く「—希望、あるいは災い—」というサブタイトルも気になります。

渡辺 最近起きているさまざまな事象に対してもそうですが、何が良くて何が悪いかがよくわからなくなってきていますよね。希望なのか、災いなのか。すべて受け取り手の判断次第なのだと思います。

佐野 これは私自身の話ですが、テレビ局を移籍した際にひどい言われ方をされたり揶揄されたこともありました。なかには「このドラマのせいでTBSを辞めることになって残念だね」と言う人も。でも、このドラマのおかげで私は自分の人生がさらに拓けたと思っています。どっちの言い分が正しいという話ではなく、人それぞれいろんな受け取り方があるのだと思います。まぁ私は、1ミリも後悔していませんが。

2022.10.24(月)
文=綿貫大介