この記事の連載

 今年4月、女性で初めてNHKのメディア総局長に就任した林 理恵さん。一方、フリーアナウンサーの小川彩佳さんは、出産後3カ月でニュースの現場に復帰し、子育てと仕事の両立に奮闘。

 テレビという同じメディアに関わりながら異なる立場で活躍するお二人。世代や立場を超えた対談は、プライベートでの趣味やリフレッシュ法など、さまざまな話題で盛り上がりました。最後にお二人が語った、自らが理想とする生き方とは?

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――林さんも小川さんもご多忙な毎日だと思いますが、時には気分転換も大切ですよね。林さんは舞台鑑賞がご趣味だとお聞きしましたが、どういったジャンルがお好きなんですか?

 実は私、「三大好きなもの」があるんです。人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、オペラなんですけど、中でも一番好きなのが人形浄瑠璃文楽なんですよ。

小川 文楽なんですね!

 そうそう。30年以上通っているんですけど、もう愛しています、本当に(笑)。そこから派生して歌舞伎も大好きになって。オペラは亡くなった母との唯一の共通の趣味で、一緒に海外の劇場に行ったりしていました。この3つは特別好きなものですが、それだけじゃなく、コンサートも大好きだし、ストレートプレイも大好き。つまり箱モノの、生のステージですね。異空間に自分の身を置いて、その時間だけ全然違うことを考えられるというのが、すごく好き。

小川 文楽はどういう経緯で好きになられたんですか?

 元々、キラキラした綺麗なものがすごく好きなんです。それを知っている友人から、「あなたにすごく合うものがある」って言われて、なになに?って聞いたら、それが文楽だったんです。当時は仙台に赴任していて劇場に行く機会がなかったんですけど、東京に転勤になって初めて行ったら、その瞬間に「これ、すごく好き!」って。それからもうずーっと通っています。予約してチケットを持っているだけで気分が上がります。

小川 それは本物ですね(笑)。私は日本舞踊をやっていましたので、歌舞伎は馴染みがあるんですけど、文楽はしっかりと観たことがないんです。

 ぜひお運びください。歌舞伎と同じ演目も多いですが、全然違う芸術なので、もし機会があったら。よろしければお声をかけます。

小川 本当ですか、ぜひぜひ! 私は映画と音楽が好きで、以前は映画三昧がとにかくリフレッシュ法だったんですね。1日4、5本、映画館をはしごしたりとか、DVDを借りまくったりして、ずーっと映画を観ているという。次の日のオンエアは目の下にクマを作ってボロボロの状態なので、スタッフからしたら心配に見える状態ですが、私的には完全リフレッシュ(笑)。今は子どもがいるので、さすがに難しいですけど。

 そうですよねぇ。

小川 それでも最近は子育ての合間にサクッと1本映画を観たりするのが、ちょっとした気分転換になっていますね。音楽も大好きで、以前は仕事の合間にパッとフェスに行ったりしていたんですけど、今はなかなか。でも、いつかは子どもと一緒に行きたいなって思って、少しずつ刷り込みしています。おなかにいる頃も、胎教でロックを聞かせようと思って、レッド・ツェッペリンを流していました(笑)。

 レッド・ツェッペリン! (笑) でも、親子で一緒の趣味を持つってすごくいいですよね。大きくなるにつれ、だんだん共通の話題がなくなっていく中で、会話の素になりますもの。私も母と同じようにオペラが好きで本当に良かったと思っています。

2022.10.07(金)
文=張替裕子
写真=杉山秀樹