クラフトサケは料理との相性もバツグン!

クラフトサケは日本酒と同じく米、水、麹を使って醸造したものに副原料を加えたり、本来の日本酒の製造工程から工程や原料を引いたもの。濾さないどぶろくや麹だけで造る全麹酒もクラフトサケに含まれる。
副原料にさまざまな素材を使用することで、クラフトサケの可能性は無限に広がるとともに、表情もさまざまに変わる。すなわち、料理とのペアリングに最適なお酒ともいえるのだ。

「猩猩宴(しょうじょうえん)」の前日には、寒風山の山頂の展望台に期間限定で設置された野外レストラン「曐迎(ほしむかえ)」で総勢11名のシェフとクラフトサケのペアリングを振る舞う特別なイベントが開催された。
全12品のコース料理とペアリングのスペシャリストが選んだ最適解のお酒がゲストをクラフトサケの世界にいざなう。
日本酒が変われば、地域が変わり、日本が変わる

「曐迎(ほしむかえ)」の翌日にはクラフトサケの祭典「猩猩宴(しょうじょうえん)」が開催。全国各地から7つのクラフトサケ醸造所が集まり、全国各地から2日間で4,000人の来場者を数えたという(10月2日から下北沢ボーナストラックでも開催)。
「こうした僕たちの活動を見て、クラフトサケが徐々に広がり、5年後、10年後には文化になってくれるとうれしいですね」
こう語る岡住さん。しかし、それだけではない。岡住さんの目には日本酒の未来だけでなく男鹿のそして日本の未来も見据えられている。
「僕たちは『男鹿の風土を醸す』という企業理念を掲げて活動をしています。そのために、男鹿の地を日本酒特区にして日本酒を造りたいという熱意のある若者を受け入れることのできる土地にする。
そしてそこから『男鹿酒シティ構想』としてお酒を楽しめるレストランや酒粕を活用してマヨネーズにする工場を作ったり、お酒と同じ発酵という要素を活用して肉醤を使ったラーメン屋やパン屋さんを開業したり。
そうして男鹿の地を活性化していけば、きっと男鹿ってなんだか面白そうという仲間が自然に集い、地域の未来を担う人材が創出されていく。きっとそれは私たちが死んだとしても、男鹿の、そして未来の礎になると思うんです」
目指すは男鹿の梁山泊。日本酒新時代はまだ始まったばかりだ。

2022.09.25(日)
文・写真=CREA編集部